20170629 小品No.362 ポケット

小品No.362 ポケット

俺は歌ってた。
ポケットの中にはビスケットがひとつ
女に裏切られた
上司と同僚に裏切られた
背負わされた借金
親はもういない
友人は逃げた

宇流布志根神社に行った
死ぬ前に神様とやらに挨拶
「なんかオレ、悪いことしましたか?」
死んだお袋が残した睡眠薬。導眠だっけ?
飲んだ。

朝。
生きていた俺。
右手に一万円札を握りしめていた。
「なんじゃ…こりゃ?」
次の朝一万円札が、なんと二枚。
借金を少しずつ毎日返した。
倍々ゲームで増える万札。
おかげで借金は完済。
ある朝、困った。
部屋の四分の一ほども万札で埋まっていた。
「使い切れねえ…」
俺はこっそり夜、何度も往復して金を捨てた。
次の朝、部屋の二分の一を万札が満たしていた。
「…なんじゃ…こりゃあ?」
捨てに行くには多すぎる。
気力が萎えて俺はそのままにしておいた。
次の朝、俺は動けない。
息もできない。
部屋に無理矢理詰まった万札。
やがて俺は万札のせいで窒息した。
なんだそりゃ。

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