20220522『紳士協定』

『紳士協定』佐藤優 2012.3月新潮社より刊行。※相変わらず面白い。p11 モスクワのテーブルマナー 1986.6.1付、安倍晋太郎外務大臣名で、イギリスに副理事官として勤務しろという辞令がでた。 p31 フレミングス・ホテル p51 ステーキ点アンド・キドニー・パイ p63 高校2年生の時、私(佐藤優)は社青同の同盟員になった。大学一回生のときにキリスト教の洗礼を受けた。しばらくして社青同を抜けた。愛読している『マルクス伝(向坂逸郎)』より。「1883.3.14 エンゲルスがマルクスの家にいつものようにやってきたとき、家ではみんな泣いていた。(略)p64 そのまま永遠に深いねむりに落ちてしまった」。p65 私自身(佐藤優)はマルクス主義者ではない。『資本論』から強い影響は受けた。(労働力資本化、疎外論)※つまり、労働力資本化=人間ははたらいている時間は生物ではなくて、カネというモノ(これがまた曲者)になっちまう。そして、疎外論=生き物ではなくなったのなら、死んじまってもいいんじゃねえの、的な。p68 イギリスの高速道路は日本と違ってすべて無料だ。 p72 ジェシー p88 武藤(※佐藤優の同僚)「イギリスの階級流動性は小さい。労働者階級や非知識人の中流階級の人々は、大学に進学することに価値を置いていない。イギリスの大学進学率は15%に達していないと思う。p89 授業料が高いし、相当の富裕層でないと大学進学は無理だ。(略)p90 日本のような受験競争はないので、学習塾はないよ。その子供はイヌだけが友達なんだ」p97 フィッシュ・アンド・チップス p109 私はごまかさずにグレン(ホームステイ先の子供)に本当のことを話した。京都の大学(同志社)の神学部でチェコの神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカについて研究した。この神学者に惹きつけられ、プラハに留学したいと思った。p110 調べてみると、外交官試験に合格すると、チェコに二年間留学することができるとわかった。給料と別に奨学金ももらえて、奨学金は、仮に外務省をやめても返さなくていい。それで受験勉強をして外交官になった。(※佐藤優はノンキャリ)外務省は、チェコ語ではなくロシア語を勉強することを命じた。ショックを受けた。とりあえず外交官になって、チェコスロバキアには休暇に出かけ、フロマートカを知る人から話を聞けるかもしれない。このことは外務省の同僚には何も言っていない。p112 ※佐藤優がグレンに「日本の昔話を、深刻な恐いくらいの話を聞きたい」と言われ、アイルランド系イギリス人ラフカディオ・ハーンが書いた「耳無し芳一」の話をする。p117 チャイナタウン ※佐藤はグレンとチャイナタウンや本屋に行く。 p130 フォイルズ(※本屋)※佐藤はグレンとヘビーメタルやケイト・ブッシュの話をする。佐藤はカール・バルトの神学書関連の本を買う。p146 コレッツ ※佐藤はグレンに戦争と残虐行為の話をする。p148 「どの国も、自分の国が他の国の人たちにひどいことをした話はしないものさ」「どうして。隠しているの」「そうじゃない」反射的に答え、どう説明したらよいか、私は少し考えた。「グレン、それは人間の認識にかかわる問題だ。人間は自分が受けた痛みはいつまでも覚えているが、他人に対して与えた痛みについてはすぐに忘れてしまう。それどころか、痛みを与えていることすら気づかない場合がある。気づいていないことは記憶しない。国家や民族も同じだ。イギリスも日本もかつて植民地をもっていた。旧植民地の人たちは、イギリス人や日本人から何をされたかということをいつまでも覚えている。(略)」p150 ※佐藤は自分の両親の経験をグレンに話す。p155 佐藤はコレッツという本屋で二時間過ごした後、タクシーでグレンとアリランというコリアンレストランに行く。p165 スコッチ  ※佐藤はグレンに「僕を対等の大人として扱ってくれるのはどうして」と聞かれ自分の経験を通して説明する。学習塾や恋愛の話をする。p175 ミスター・サトウ、スコッチという言葉はものすごい侮辱語で差別語だ。スコッツ(Scots)と言わなくてはならない。(略)スコッチという言葉を使っていいのはウイスキーのときだけだ。人を指すときには絶対に使ったらいけない(略)。 p177 ノーベル文学賞をとった作家ゴールズワージーに『林檎の木』という小説がある(略)ギルバート・マレーが訳したエウリピデスの悲劇が引用されている。ギリシャ人の運命観を現代のイギリス人にわかりやすく説明している(略)。 p182 郊外電車 p186 「一等に行こう(略)夜の二等があんな状態だとは夢にも思わなかった。ほんとうにびっくりしたよ」※フーリガンが小便をしたりする。不気味な感じ。p192 どうして戦争が起きるのかとか、人間は優しいのか残虐なのかとか。すぐに答えが出ないし、一生かけても答えが出ないかもしれない。こういう問題について考える訓練をする場として、大学は重要だ。独学するよりも時間を節約できる。p195 ※コックニー…ロンドン東部、正確にはシティにあるセント・メアリー・ル・ボウ教会の鐘の音が聞こえる範囲内で生まれ育った人々が話すアクセントのこと。 いわゆる江戸っ子が話すような「下町言葉」。 主に労働者階級の言葉とされ、上流階級からは伝統的に「汚い」英語として忌避されてきた。 p198 ヨークシャープディング p213 「グレン、僕の言うことをよく聞いて。どうして、貧乏人だといけないのだろうか。僕はヨークシャープディングが貧乏人の食べ物だとは思わない。しかし、もし貧乏人の食べ物だとしても、それが何か悪いことなのだろうか。食べ物で他人を馬鹿にするような人間はロクな奴じゃない。そういう奴の言うことを聞く必要はない。そんな考え方は間違っている。これは、イギリスでも日本でも共通の法則だと思う。それで、ヨークシャープディングのことでいじめられた話をママにしたか」「していない。できるはずがないじゃないか」とグレンは瞳に涙をためて言った。(略)p214 「佐藤、その子供は今すごく悩んでいるね。階級を移動すべきかどうか悩んでいるんだ」「階級を移動する?」「そう。その子供の家庭は労働者階級じゃないけれど、中産階級の下の方だ。その子はグラマースクールに通っているので、大学に進学し、中産階級の上層、あるいは知識人階級に移動することができる。しかし、それが本人、そして両親との関係においてほんとうによいことなのか、悩んでいるのだと思う。イギリスは日本と比べると、ずっと階級移動の少ない社会なんだ」と武藤君は言った。 p216 家族 p213 「僕はイギリスに来てからまだ1か月にもならないけど、ホームステイをしてみて、この国には目に見えない身分意識のようなものがあることを痛感する。親は子供たちを勉強に追い立てない。また、何が何でもオックスフォード大学やケンブリッジ大学に進んで出世するんだという発想も希薄だ」「イギリス人は出世主義者を軽蔑するよ」「その基準からすると日本人のほとんどが軽蔑されることになる」p222 武藤「イギリス人は本質的に人種主義者で、階級意識が強い。自分たちと有色人種は別だと考えているから、イギリス人は東洋人とうまくやっていくことができる。また、国内で別の階級に属していても、対外的にはまとまる」。佐藤「僕もそれを強く感じる。柔らかいけれど、イギリス人は強い愛国心を持っている。マルクスが言うような階級という切り口でイギリス社会を見ると、大きな勘違いをしてしまう。愛国心が階級意識を凌駕しているように思える」。p225 武藤君は「パブでフィッシュ・アンド・チップスを頼んで失敗することはまずない」と答えた。パブは満員だ。みな友だち同士で楽しそうに飲んでいる。「こうして見ていると、イギリス人は幸せそうだな」と私がつぶやいた。武藤「日本とは幸せの基準が違うのかもしれない。成熟し、安定した社会なんだと思う。」※日本の幸せの基準と何が違うのか? 日本は成熟した社会ではないのか? 武藤「イギリス人は家族をたいせつにする。土日の家族での食事、夏休みの家族旅行、クリスマスがとても重要だ」「僕はグレンを見ていて思うんだけど、イギリスでは、家族と階級が結びついている。グレンの両親は、小作人ではないけれど地主でもない農民の子だと思う。お父さんは上昇志向があったので、技師になった。それでザンビアに渡った。植民地に渡るというのが、階級上昇のための現実的な手段だったんだと思う。ファーラー家は中産階級に上昇することができた。そして現状に基本的に満足している。(略)グレンは、特にない両親が進めたいわけではないが、勉強が好きだ。両親としても想定外だったが、グラマースクールに進学することになった。そこで、大学進学の可能性がグレンの視界に入ってきた。グレンは知的好奇心が強い。しかし、家族と別の世界(※階級)には行きたくないと思っている。それがグレンの悩みになっているように僕には見える。(略)僕は外交官になるなんて夢にも思っていなかった。僕の両親は大学を出ていない。(略)僕が言いたいのは、日本では、成績がそこそこよければ大学に進学でき、外交官試験に合格すれば誰だって外交官になれるのに、イギリスの場合は、目に見えないいろいろなバリヤーがあるようだ、ということだ。グレンのような知的好奇心の強い少年が、この国では自分の可能性を十分に生かせないように思えるんだ」(略)p228 「ミスター・サトウ、『戦場のメリークリスマス』という映画を見たことがある?」「何回か見たよ。どこかでビデオを売っていると思うから買ってくるよ」「ううん、それはまずい。あの映画は、15歳未満は見てはいけないことになっている」「えっ。日本ではそういう規制はないけれど」「とても残虐な映画だという話を聞いたんだよ」「戦争映画だからね。確かに残虐なシーンはある。でもいい映画だと思うけどね。どうして関心を。デイビッド・ボウイがでているから?」「違うよ。それじゃ、おやすみなさい」 p230 プール p247 オフィサーズ・メス(将校宿舎) p263 戦場のメリークリスマス ※ここは〈戦争の見方〉について、よいことが書かれている。 p311 フカヒレスープ p323 北京ダックの飼育法 p341 忠告 p352 武藤「外交官は、上司の命令で嫌な仕事でもやらなくてはならないことがある。そのときに相手の気持ちになって考えすぎると、仕事に障りが出る。外国人との付き合いには一線を引かなくてはならない」 p356 「ミスター・サトウはもうイギリスに来ることはないの。休暇では来ることがあるんでしょう」とグレンが尋ねた。「多分あると思うよ」そう答えながら私は、休暇が取れたらプラハにチェコ神学の資料を漁りに行くので、恐らくロンドンを訪れることはないと思っていた。(略)「約束だよ」とグレンが念を押した。「約束する」と私は答えた。(略)p357 運び屋 p358  1988年6月から、モスクワの日本大使館政務班で勤務。ソ連内政担当。特に民族問題フォロー。(略)グレンだけでなく日本の両親にも手紙を書く時間的余裕がなくなった。クリスマスカードだけは必ずファーラー家に送るようになった。ソ連は激動期。普段なら知り合えないソ連人民代議員(国会議員)、共産党幹部、バルト三国の民族運動指導者とも親しくなった。他の大使館員がもたない人脈を政界や官界にもつようになったので、大使館幹部も私の仕事を評価。通常、研修上がりは2~3年で本省に移動になるが、私はモスクワに1995年3月まで、着任から7年8ヵ月間、留め置かれることになる。p367 武藤「僕はいつか佐藤が組織とぶつかるような気がする。佐藤は何事も徹底して知ろうとする。そして、人間関係に深入りしすぎる」p368 佐藤「上司に取り入ってキャリア職員に登用されたいとも思わない。40歳になったらアカデミズムに転出して、第二の人生を送りたいと思っている。いま31歳だからまだ9年余裕がある」p369 「佐藤には別の可能性がある。東京の国会議員が注目している。これから北方領土問題が動く。国会議員は佐藤を利用する」「僕にそんな力はない」p371  1991年7月初め、大使館の総括大使に呼ばれた。総括大使は、特命大使、次席公使に次ぐポストだ。「ロンドンのG7サミットにゴルバチョフ大統領がゲスト出席するが、本省がモスクワから応援として君を指名している」「なぜ私ですか」「民族問題で専門的な話が出たときに臨機応変に手伝ってほしいと」「わかりました。ただし、お願いがあります。サミットが終わった後、2日ほどロンドンでの滞在を延長して、ソ連情勢の本を買いたいのです」「3日延長していい。研修時代の友だちと会うといい」 p373 グレン ※よい本だな。しかしなぜライフワークが受肉論なのか。理想を現実化する手段だからって理屈か。わからん。

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