20220319『戦後民主主義に僕から一票』内田樹

『戦後民主主義に僕から一票』
p12 第一章 民主主義~日本社会の株式会社化 
p12・民主主義の時代 
p13 大人たちが民主主義を組織しようと本気で思っていたのは、1945~1970年くらいまでだと思う。それ以前には根づいていなかったし、それ以後は枯死した。 p16 私達は大人を平場に引きずり込おろして真剣勝負することを要求した。実力主義の要求であり、1種のアナーキーだった。要するに「民主主義という殻」をウザいと引き剥がし、「荒野に一人立つ」というような生き方をかっこいいと思っていた。そういう「お気楽」な考え方をできたこと辞退が戦後民主主義からの気前の良い贈り物だったことをわたしたちはわかっていなかった。民主主義は手ひどい扱いを受けて、尊厳を損なった。その頃、日本の「株式会社化」が始まった。農業従事者の数は減り続け、村落共同体モデルはも減り続けた。長い時間をかけてゆっくり満場一致に至るまで議論を練り、一度決めたことには全員が従い、全員が責任を負うというモデルは減り続けた。株式会社と民主主義は全然違う。金儲けのために存在する。政治的に正しい必要はない。※この場合の政治的=人間的、かな。民主主義は、資本主義が着ている隠れ蓑みたいなもの。王を倒すために富裕層が使った道具。人間的な、から、利益優先に変わっていくのは必然。 p19 「じっくり時間をかけて合意形成」などしない。「オレに従えないなら出ていけ」である。しかし、近代になって、民主制の方が独裁制よりも「生き延びるチャンスが多い」ということを歴史が証明した。独裁制の欠点は失敗した時に復元力がない。国難に際して「身銭を切っても国を再建せねば」と思う人間が少ない。p22 民主制の「ここがすばらしい」というところはあまりない。「あまり酷いことにはならない」のが民主制の手柄。p23 資本主義の目標は「儲けること」で「生き延びること」ではない。p24 「生き延びる」ことについては、民主制は他の政体よりもアドバンテージがある。 
p26・『民主主義』解説 ※経綸…けいりん。国家を治めととのえること。その策。 p39 なぜ日本人は軍国主義に魅入られるに任せたのか。p42 まったく統治モデルが違う国でも、心においては民主主義ということがありうる。※これは『希望の歴史』のホモ・コーオペランス、だな。 
p45・租税回避と国民国家の解体 ※国民国家の解体ってのはちょいとおもしろそうだね。 p45 武富士の長男が、自分は香港住民であって日本政府に納税義務はないと訴訟。最高裁は訴えを認め、国は2000億円を彼に支払い。p46 金儲けを人生の第一目的に掲げる人間関係にとって租税回避は合理的な選択。資本主義(※本書では、経済のグローバル化)が進めばこうなる。p46 海外売上を法人税率の低いアイルランドのペーパーカンパニーに移してアメリカへの納税を回避してきたアップル社のCEOが先般米上院に召喚。現時点で最大利益をもたらす国に拠点を移すのがグローバル経済の常識。2012年の大飯原発再稼働のとき、日本経済界も同じ「常識」によって野田内閣を脅した。再稼働しなければ電力コスト上昇で日本企業の国際競争力が低下。このまま再稼働しないなら、製造拠点を海外に。国内雇用消失、地域経済壊滅、法人税収入も消える。そうなっても、政府と国民の責任。この脅しに負けて野田内閣は再稼働を認めた。p47 この「常識」は最近。少し前なら、日本企業なら日本人に雇用機会を与え、地元経済を潤し、多くの税金を国に納めることに達成感。これが「常識」。本音は違っても、租税回避や人件費削減や海外への拠点移動は「これ以外に生き延びられない」とされた。やましかった。それがなくなった。それを非難する世論が消えた。p50 生き延びたければ「日本列島から逃れる」ことができる機動性の高い人間になるしかない。これが現代日本の「常識」だ。p51 しかし皮肉なことだが、「グローバルなこと」がアドバンテージを持つのは、グローバリストが立ち去ったローカリティの内部においてだけ。政府に2000億円払わせた消費者金融の御曹司は香港社会でどうなっているのか。金を奪おうとする無数の人間はいるだろう。彼の蓄財と処世の才に敬意を抱く人間はいないはずだ。p52 「船が沈没するときにまっさきに脱出できるように上空にヘリコプターを待機させておけるほど目端の利いた人間に船の舵取りを任せるべきだ」というロジックが通用している。「いつでも日本を捨てることのできる人間」が「日本人のあるべきモデル」とされている。(略)p55 自民党改憲案が「グローバリスト」のための憲法。※鮮やかな文章だね。納得。書くの面倒だから「(略)」ってしちゃったけど。筆者は凄いな。p59 グローバル企業は国民国家の資源を食い尽くす。日本人がいつまで耐えられるか。私としては「はやく目を覚ませ」と警鐘乱打する以外にない。 p60・対米従属テクノクラートの哀しみ ※これもちょいとおもしろそうだね。p60 ほんとうの主権者は太平洋の向こうにいる。p63 対米従属は敗戦国にとっては必至で合理的なの選択であった。ソ連よりは「まだまし」。9条2項を丸呑みして、代わりに天皇制を残すのもそれ以外に解のなかった苦肉の策。これらの当時の判断に私は異を唱える気はない。p64 高度成長期、経済戦争でアメリカに勝ち、国家主権を金で買い戻す夢はバブル崩壊で消えた。p65 「アジアで地政学的な存在感を増して、その外交的実力を背景にアメリカに国家主権を認めさせる」小泉のプランは2005年の国連常任理事国入りの失敗によって消えた。「アメリカの票が一つ増えるだけ」という海外からの指摘に日本の外交当局は反論できなかった。p66 「日本がアメリカの忠実な属国であるのは、アメリカから全幅の信頼を勝ち得ることによってアメリカからの自立を果たし、アメリカとは違う外交的ふるまいをするため」という日本人以外には理解不能の国家戦略をアジアの隣国に説明する努力を日本人が怠ってきた。その「つけ」である。2005年時点で「対米従属を通じての対米自立」という戦後60年間続いた国家戦略は事実上終わった。2012年のアーミテージ・ナイ報告書は恫喝から始まる。日本政府は縮み上がって、全ての要求に応じた。原発再稼働、TPP交渉参加、掃海艇ホルムズ海峡派遣、特定秘密保護法の立法、PKOの法的権限の拡大、集団的自衛権の行使容認、武器輸出の解禁などなど。この腰砕けは一つには世代交代のせいだろう。p69 「対米従属は対米自立のための戦術的迂回」という世代の次世代エリートは対米従属従属技術を磨いてきた理由がわからなくなった。彼らがその技術を磨いたのは個人的な「出世」のため。だから新しい理由は「対米従属こそ日本の国益を最大化する(すでに対米自立は果たしているけど)」という大義名分。しかし対米従属テクノクラートたちはアメリカとのフロントラインで日々聞かされる。「属国民よ、その地位にふさわしい従属状態を甘受せよ」彼らも傷つく。日本人が国家主権の回復をめざす対米自立の道をもう一度たどり直すまでこの自傷行為は続くだろう。病は深い。※筆者は国を作り直せ、と。 p73・「語り継ぐこの国の形」 ※筆者はすっきりした見方を提供してくれるが、内容の真偽は私には難しいな。筆者はこの国はどうなったら良いって思ってるのかね? 

p82 第二章 政治~道徳的「インテグリティ(※誠実)」の欠如 ※リバタリアニズム…個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場。新自由主義と似るが、これが経済的な自由を重視するのに対し、リバタリアニズムは個人的な自由をも重んじる。他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する。 ウィキペディア 

p142 第三章 憲法~制定過程の主体は誰か? p142 憲法の話 p144 改憲した後も日米安保条約が維持され、国内に米軍基地が存続し、どのような国防上のプランもそのつど日米合同委員会で米軍の許諾を得なければ実現しないのであれば? それならば改憲はただ日本が「アメリカの軍事的属国」であるということを国際社会に向かってあらためて宣言する。それ以上を意味しない。敗戦によるその屈辱的な国際的地位を今になって進んで選ぶならば、「私達は敗戦国以下の存在である」と宣言するに等しい。それによって、国際社会から慶伊が寄せられないと思う。※筆者は日米合同委員会云々の条件がないなら改憲して良いって意見かねえ? ※p147の論理はよくわからん。アメリカの言いなりだと認めたくなかったから〈集団的に「気が狂う」ことを選択した〉。気が狂うとは、〈9条と自衛隊は矛盾で、戦後日本の不幸の原因はそれだという嘘を信じる〉ことだという。この分身がわからんな。p147 世界政治史上まれに見る狡猾な政治 ※これはよくわかる。日本は戦死者を出していない。ズルいと言われても仕方ないね。ああ、つまり「得してるのに、苦しんでいますなんて演技はやめてよ」ってことか。笑 なるほどね。 

p208 第四章 教育~貧して鈍して劣化する p216 バブルが弾けて、大学も格付けという「貧乏シフト」に流された。学問にとっては致命的。格付けは「他の人もできることを、他の人よりうまくできるか」を見ること。独創的な研究は、誰もしたことがない研究だから、格付けになじまない。「貧乏シフト」で大学から「誰もやっていないことを研究する自由」が失われた。独創的な研究には予算がつかなくなった。そんな大学が知的に生産的なわけがない。貧したことはよくあるからいいが、鈍したことは深く恥じるべし。(内田樹 2018.9.10)

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