20210617『人を救えない国』金子勝

『人を救えない国 安倍・管政権で失われた経済を取り戻す』
金子勝
朝日新聞出版
2021.2.28第一刷発行

p170
アベノミクスでは「インフレターゲット論」が採用された。中央銀行が「2年で2%」のインフレ目標を約束し、異次元の大規模金融緩和で国債を買い入れれば、やがて物価が上昇し、人々はそれに刺激されて消費を増やして景気が回復するというシナリオだった。
しかし失敗した。本来2年の「短期」で終わるはずだったが、産業衰退や地域衰退が起きているので、貨幣の量を増やしても、貸し出しは増えなかった。ゆえに、日銀の当座預金がたまり混み、貨幣の流通速度が低下していくだけだった。
※これは事実なのか?

そして安倍政権も黒田日銀も「2年で2%」という公式のインフレ目標を降ろしたのに、8年近くも失敗した異次元金融緩和(大規模に国債や株を買う)を続けた。ゆえに、日銀は国債や株を売るに売れない。出口がない。
そして超低金利政策が銀行(とりわけ地銀)を追い込む。その弊害を批判すれば、「反緊縮」のレッテル貼りでバブル路線を煽る。
大量の貨幣供給は、実体経済を改善するよりは、実はバブルを創り出して格差を拡大させる。
いまやバブル崩壊を防ぐために、より一層バブルを創らねばならない状況である。
※筆者のこの分析はどの程度事実なのか?

p169
※著者によるMMTの記述。省略。
※MMT(現代貨幣理論)
現代貨幣理論の代表的な主張をまとめると、以下の3つのことがあげられます。
・自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない
・財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき
・税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである
このように「税は国の収入である」といった従来の定説とは異なる考え方で、近年大きな話題を呼びました。(略) https://miraisozo.mizuhobank.co.jp/money/80284

p171
れいわのブレーンとされる人たちは、MMTの枠組みを悪用している。インフレ目標が達成できていないまま、永遠に財政赤字を膨らませようとしている。
MMTでは、財政赤字で支出するのはJGP(ジョブ・ギャランティ・プログラム。移民や若年の低所得層に対して保証する。欧米では、移民や若年層の失業が深刻なので、これで格差を是正しつつ経済成長をもたらすと考える。p169 )である。これは理解できる。しかし、れいわのブレーンは消費税減税をやる。これは、彼らの最初の首長とは反対に「物価を下落」させるデフレ政策。産業衰退により、実質賃金は低下し続けているから、消費は増えない。ゆえに永遠に2%の物価上昇は起こらない。ゆえに大企業増税は起こらない。絵に描いた餅である。
※大企業増税の条件が「2%の物価上昇」という点がそもそもおかしい。

なぜ、れいわのブレーンはJGPを消費税減税にすり替えたか。アベノミクスの残党たちが、その失敗の原因を消費税増税のせいにしているから。しかしそれは間違い。そもそも消費税増税には景気弾力条項があった。消費税3%導入の1989年(総理竹下登)は景気が良く、増税の影響は吸収された。しかし1997年(総理橋本龍太郎)に5%に増税された時は、景気は悪化していた。原因はバブル崩壊による金融危機であり、消費税増税ではない。消費税が経済を壊したのなら、税率が20%を超える北欧諸国はとうに経済破綻していることになる。
※議論がおかしいのではないか。消費税増税がきっかけで景気が悪化することはあるだろう。さらに「景気の悪化」を「経済を壊す~経済破綻」とすり替えているように聞こえる。

つまり、消費税増税がアベノミクスを失敗させたのではない。アベノミクスが失敗した(※筆者は「=景気悪化した」と言いたいのか?)から消費税増税がうまくいかなかった。
※説得力がない。ちなみにアベノミクスは2012年。

5.ベーシックインカムゲイン論の罠p172
左派ポピュリストの政治的スローガンである。日本でも一人あたり7万円支給の論がある。問題点はいくつもある。
ひとつは、経済を立て直しつつ、生活水準をどう引き上げていくか見えない。一律(七万円)ばらまくことで、政府は貧困問題を放棄することになりかねない。貧困問題の解決につながらない。
つぎに、財源はどう確保するか。一億二千万人に一律七万円支給すれば予算は年間100 兆円。実現可能性は極めて低い。
※ベーシックインカムは中途半端。せいぜい過渡的政策。究極にはAI働き人はフリーのノーマネーワールド。

p174
コロナ禍の経済対策は。
景気回復過程では、未来につなげる現金給付制度。
子ども手当
基礎年金一時給付金
中小企業雇用助成金
2、3年後に景気回復したら大企業や高所得者への増税。
社会保険料の高所得者の上限引き上げ(分離課税にされている)
金融所得の累進化
所得税の最高税率の付加税
つぎに、石炭火力やプラスチックゴミを減らすために、
環境税を増徴
法人税の租税特別措置を削減
フローでの内部留保課税を強化

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