20200110『文明崩壊』ジャレド・ダイアモンド(下)

20200110『文明崩壊』ジャレド・ダイアモンド(下)

第九章 存続への二本の道
p51
一六五〇年に日本を訪れた観察者なら、こう予言したかもしれない。増え続ける国民が減り続ける資源を争うなかで、森林乱伐が招く日本崩壊の危機に瀕している、と。
なぜ、江戸時代の日本はトップダウン方式の解決で森林乱伐を防ぐことができたのか。一方で、古代のイースター島、マヤ、アナサジ(アメリカ先住民)、現代のルワンダ(10章)、ハイチ(11章)は失敗したのか。
なぜ、どの段階において、人間は集団による意思決定に成功あるいは失敗するのか。(第14章)
p52
江戸時代の日本は鎖国によって、他国の資源を略奪して需要を満たすことはできなかった。(略)将軍・大名・農民それぞれが利益を受けながら森林を持続可能な状態に管理した。
p53
本書は環境決定論を説かない。トップダウンの決断の成功例が日本の将軍であり、ボトムアップの決断の成功例がモンタナ州野生動物保護区に関わる地主たちである。
ニューギニア高地、ティコピア島も成功例である。
過去二、三世紀のあいだに、ドイツ、デンマーク、スイス、フランス、その他の西ヨーロッパ諸国は、日本と同様に、トップダウン方式で森林地域を安定させ、そのや拡大を図ってきた。また、約六百年前、インカ帝国は、君主のもとに数千万の臣民が従い、木の供給を確保した。
失敗例がマヤの王、アナサジの首長、ハイチやルワンダの大統領の決断である。
※現代のCOP25 における米中のふるまいを見ると愚かな指導者のように見える。約束(パリ協定)を破る男・トランプと、一番CO2を排出する男・習近平。
p36
環境だけでなく、環境に適した経済の正しい選択が重要である。
あとは、特定の経済を採用したら、社会がそれをじっこうできるかという問題がある。第14章で裂けるべき失敗について考える。

第3部 現代社会
第10章 ルワンダの大量虐殺 アフリカの人口危機

第11章 ドミニカとハイチ 一つの島、二つの国民と歴史

第12章 中国 揺れ動く巨人
p155
執筆するあいだ、わたし(筆者)自身の心も、気の滅入るような事実の連続に失望したり、中国がすでに採用した迅速で徹底的な環境保護政策の実施に希望を抱いたりと、振り子のように揺れ動いた。(略)最良のシナリオでは、いずれ中国政府は、環境問題が人口増加問題以上に重大な脅威だと認識するだろう。

第13章 オーストラリア 搾取される国

第4部 将来に向けて
第14章 社会が破滅的決断をする理由
p218
本書のあらゆる例から「複雑な社会が環境資源の管理に失敗して自滅する」ことが繰り返し起こっていることがわかる。なぜ?
※複雑な社会=ある程度以上発展した社会。少なくとも首長制社会(チーフダム。数千人)以上か。

p218
集団の意思決定を失敗させる要因のカテゴリー
一、問題が生まれる前の予期に失敗
二、問題が生まれたとき感知に失敗
三、解決を試みることにさえ失敗
四、解決を試みたけど失敗
p219
一、問題が生まれる前の予期に失敗
未経験の場合。十九世紀にイギリス人入植者が、オーストラリアへキツネとウサギを持ち込んだ。(略)損害と個体の制御に数十億ドル費やすはめに。
p220
ほかの例としては、セイウチ猟に多額の投資をしたグリーンランドのノルウェー人、土壌学に通じていなかったコパンのマヤ族。
p221
人間は物事を忘れやすい傾向がある。一九七三年の石油危機からアメリカ人は一、二年は燃費の悪い車を敬遠していたが、今では嬉々としてSUV(スポーツ汎用車)を受け入れている。

二、問題が生まれたとき感知に失敗
p224
振動の大きい上下動に隠されたゆるやかな傾向をとる場合。地球温暖化が挙げられる。

三、解決を試みることにさえ失敗
(1)p227 合理的かつ非道徳的行動
一部の人々は正しい論理によって「他の人々に害を及ぼす行動をとることで自分の利益を増やせる」という判断を下す。
※国益=他国の損失。
p233
有史以来、自己中心的な王や首長や政治家たちの行為や不作為が、常に社会の崩壊の一因をなしてきた。本書の、マヤの王たち、ノルウェー領グリーンランドの首長たち、現代のルワンダの政治家たちの所業がその例だ。
「政治的愚行を招く力の要は、タキトゥス(*)が『あらゆる熱情の中で最も醜悪』と呼ぶ権勢欲だ」(『愚行の世界史-トロイアからヴェトナムまで』バーバラ・タックマン)
(*)帝政ローマ期の歴史家。55~120頃
(2)p234 環境被害に結びつく価値観
p234
人間は深く根づいた価値観に基づいて、現状を甘く見ることがある。
p235
共産主義の中国は、資本主義の過ちを繰り返すまいという決意ゆえに、環境への懸念を「単なるもうひとつの資本主義の過ち」とかたづけた結果、途方もない環境問題を背負い込んだ。
p236
基本的価値観の一部が生存と両立しえなくなってきたと感じるとき(※死んだ方がましだと感じるとき)、どの時点で、わたしたちは個人として、死ぬことを選ぶのか。現代世界では、実際に何百万もの人々が、自分の命を守るために、友人や親戚を裏切るか、堕落した独裁政権に黙って従うか、事実上の奴隷として生きるか、故国を捨てるかという決断を迫られている。国家や社会も、ときに集団として同様の決断をしなければならない。(※事実上のアメリカの奴隷として生きる、とか)
決断はすべてギャンブルである。いかなる場合であれ、未来は保証されていないからだ。
ソヴィエト軍に直面した五つの小さな東ヨーロッパ諸国。エストニアとラトヴィアとリトアニアは一九三九年に戦闘なしで独立を放棄し、フィンランドは一九三九年から四十年までの戦闘で独立を維持し、ハンガリーは一九五六年の戦闘で独立を失った。どの国が賢明だったか、誰に判定できるだろうか。

四、解決を試みたけど失敗
p241
オーストラリアに導入されたオオヒキガエル(*1)、アメリカ西部の森林火災の抑制(*2)などがある。
(*1)主にサトウキビ畑の害虫駆除のため、世界各地に移入された。1920年代にフロリダ州とプエルトリコ、1932年にハワイ、1935年にオーストラリアへ移入されている。大型であるうえに繁殖力がきわめて強いことに加え、有毒種であるために天敵がいないことから、移入先で爆発的に増加した。在来種を捕食、在来種との競合、本種を食べようとした脊椎動物などの大型動物が毒による被害を受けることが懸念されている。(Wikipedia)
(*2)内容不明。

p243 希望の兆し 失敗の原因理解
p245
失敗原因の理解がうまく利用された事例。一九六一年の春、ケネディ大統領とその顧問団は集団意思決定の罠に落ちて、ピッグズ湾への侵攻開始という破滅的な決断をした。それは失敗して、はるかに危険なキューバミサイル危機を招いた。
「ピッグズ湾事件の審議には、間違った決断を導きがちな多くの特徴が見られた。表向きの合意の早まった察知、個人的な疑念や反対意見の表明に対する抑圧、集団の指導者(ケネディ)が意見の不一致を最小限にする方法で議論を進めたこと。しかしその後のキューバミサイル危機の審議では、ふたたびケネディと同じ顔ぶれの顧問の多くが関わったが、議論を有意義なものにできた。なぜか? ケネディが、疑念を捨てずに考えるよう参加者に命じたこと、好き勝手な意見が言えるまで論議を重ねたこと、複数の下位集団と別々に会談したこと、自分が議論に影響を与えすぎないように時々席をはずしたこと。」(『集団思考』アーヴィング・ジャニス)
ケネディは一九六一年の大失敗後にどこが間違っていたのかを真剣に考えた。その考えに基づいて、一九六二年のキューバミサイル危機の討議では、やり方を意図的に変えた。
p247
江戸時代初期の将軍たちは、日本の森林乱伐をイースター島の段階に達するずっと前に止めた。
ホアキン・バラゲールは(いかなる動機があったにせよ)イスパニョーラ島東側のドミニカで環境保護を強硬に支援して、西側のハイチと対照的な成果をあげた。
ティコピア島の首長たちは、メラネシア全域でブタが珍重されていたにもかかわらず、島に損害をもたらすブタを根絶する決断をした。
中国の指導者たちは、国の人口がルワンダの水準に達するずっと前に、家族計画を義務づけた。
ドイツ首相コンラート・アデナウアーをはじめとする西ヨーロッパの指導者たちは、第二次世界大戦後、再発抑制のため、単独の国益をなげうって、欧州経済共同体としてヨーロッパの統合に乗り出した。

第15章 大企業と環境 異なる条件と結末

第16章 世界はひとつの干拓地 p309
p310 とりわけ深刻な「十二の環境問題」
【A】天然資源の破壊もしくは枯渇
(1)自然の棲息環境の破壊
(2)魚介類の崩壊や衰退
(3)野生の種や個体群の喪失
(4)土壌の浸食
【B】天然資源の限界
(5)エネルギー 近年深刻化
(6)地下水の枯渇
(7)光合成の限界 近年深刻化
【C】私たちが生み出した、もしくは発見した有害物質
(8)有毒化学物質 近年深刻化
(9)外来種
(10)大気の変動 近年深刻化
【D】人口問題
(11)人口増加
(12)世界人口が環境に与える影響

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