20190822『イースタニゼーション 台頭するアジア、衰退するアメリカ』ギデオン・ラックマン

『イースタニゼーション 台頭するアジア、衰退するアメリカ』ギデオン・ラックマン

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あとがき トランプと西側の衰退 p303

二〇〇九年 オバマ大統領就任
p306
二〇一二年 習近平国家主席
二〇一六年 トランプ大統領就任
p303 トランプは大統領選でアメリカの暗い未来を描いてみせた。就任演説ではアメリカの状態を「殺戮」と言い、アメリカのあちこちに「錆びついた工場」が散らばっていると嘆いた。トランプは「アメリカを再び偉大にする」と誓った。トランプの側近の一部は、グローバリズムとアジアの台頭、アメリカの衰退を結びつけて考える。当初のトランプ政権首席戦略官スティーブン・バノンはは言う。「グローバリストらはアメリカの労働者を骨抜きにして、アジアに中間層を生みだした」「アジアの富の増大は、主流派経済学のいう〈双方に有益なプロセス〉ではない。アメリカを弱らせるものだ」さらに彼は米中戦争について、トランプ当選数カ月前の二〇一六年はじめ、ラジオ番組でこう語った。「五年から一〇年以内に南シナ海で戦争をする」
p309
二〇一六年二月、トランプ台湾総統蔡英文と一〇分の電話会談。

p304
トランプは中国との貿易戦争を重視している。「中国との貿易で五〇〇〇億ドルの赤字。中国がわが国を陵辱するのを許しつづけるわけにはいかない。中国は史上最悪の盗人だ」
大統領候補トランプは最高四五パーセントの関税をちらつかせて中国を脅し、大統領に選ばれると、ホワイトハウス国家通商会議のトップにピーター・ナバロを任命した。ナバロは有名な保護主義者(反グローバリスト)で、『Death by China (中国がもたらす死)』の著者。
トランプが中国への関税引き上げまで、一年以上かかった。保護主義陣営ナバロと伝統陣営ゲイリー・コーン(大統領首席経済顧問。ナバロから「グローバリスト」と呼ばれた)の内紛のためだ。
二〇一八年三月、ゲイリー・コーンは辞表を提出。トランプが鉄鋼とアルミニウムの輸入製品に懲罰的関税を課すことを決断したため。保護主義者の勝利。

p305 「トランプは正しい。中国の貿易のやりかたは卑怯だ」CNN 番組ホストのファリード・ザカリア語る。

p306 「貿易戦争はわれわれ中国が勝利。トランプ一手先、われわれ十四手先」

二〇一七年末、中国憲法改正。「習近平思想」が憲法に明記された。
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https://www.asahi.com/articles/ASL1M5K84L1MUHBI02L.html

中国全人代が憲法改正、国家主席の任期を撤廃 習近平の永世続投可能に
2018年3月12日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9708.php
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p307
習主席が無期限に権力の座にとどまる可能性は高い。中国が全体主義(※独裁では?)へと進む見通しは、これまでワシントンに警鐘を鳴らした。しかしトランプ大統領はおかまいなしだ。「トランプは全体主義的な指導者と相性がいいんだ」と、トランプ政権の顧問のひとりは苦笑混じりに私(筆者)に語った。
二〇一七年四月、習主席の初の訪米の際、フロリダ州マー・ア・ラーゴにあるトランプの別荘を訪問したとき、習主席はみごとな手腕でトランプ大統領を魅了した。「われわれはすごくうまくやっている。彼のことはすごく好きだ。彼も同じ気持ちだと思う」一一月に北京を答礼訪問したトランプは、華やかな軍事セレモニーで迎えられて大いに気をよくした。とはいえ、米中間で緊張が高まりつつあるのを隠せない。貿易戦争に突入し、太平洋での軍事的緊張も増している。
p308
二〇一八年半ばのアメリカ諜報機関によれば、中国が南シナ海の人工島に対艦・対空ミサイルを設置したことで、軍事バランスがシフトしたという。アメリカインド太平洋軍の新司令官フィリップ・デービッドソン海軍大将はこう認めている。「中国は、アメリカとの戦争を除くいかなるシナリオにおいても南シナ海を支配する力を持っている」
二〇一五年に習近平はホワイトハウスの芝生の上に立ち、南シナ海を軍事化しないと約束したことを踏まえて、アメリカ政府はこれを中国の〈二枚舌外交〉と〈悪意〉の証拠とみなした。
「われわれは習近平が語る言葉の価値を知っている」(トランプの側近のひとりが著者ギデオン・ラックマンに語る)
p308
二〇一七年末、トランプ政権初代国務長官レックス・ティラーソン「中国の人工島建設はロシアによる違法なクリミア併合に等しい。中国に、これらの島へのアクセスは認められないことをわからせる」

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就活生向け!
榊原英資の“グローバル視点”経済展望
<第19回>2017.5.17
オバマ大統領の経済政策と世界へのインパクト
https://job.career-tasu.jp/finance/columns/pro001/019/

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p309
二〇一七年二月、トランプが折れて米中発の電話会談。※時系列むちゃくちゃで流れがわからない。

p310
政権一年目、トランプは北朝鮮の核の脅威にひたすら取り組んだ。
二〇一八年三月、トランプ方針転換。金正恩との首脳会談に応じた。
p311
二〇一八年六月、シンガポールで首脳会談。トランプは大成功と誇示するが、目に見える成果はなし。トランプは米韓合同軍事演習中止発表。明確にアメリカが譲歩。
政権一年目のトランプは、朝鮮半島での戦争をやるつもりのように見えた。そうなれば日本は核報復の対象になっていたかもしれない。二年目になると、トランプは日本と韓国を危険な状態に放りだし、北朝鮮に各国で対処させるつもりだとしか思えなくなった。

p312
トランプの気まぐれは日本の悩みの種。中国のせいでアメリカの軍事力に頼らざるを得ない日本は、トランプの機嫌をとるしかない。トランプの最初の犠牲者は中国ではなくて日本だった。
二〇一六年一一月の安部首相との会談からわずか四日後の、大統領就任当日、トランプはTPPからの離脱を表明。TPP は十二カ国のあいだで苦しい交渉を重ねた貿易協定で日米二カ国は最重要加盟国。オバマと安部は、中国を排除したTPP を、中国によるアジア支配の阻止手段と見ていたのだ。
その協定をトランプが拒否した。日本は大打撃である。日本はTPP を存続させたが、協定の重要性は大幅に弱まった。
トランプにしてみれば、TPP は「グローバリズム」そのものだった。それどころか二〇一七年七月の民主党全国大会でも、TPP 反対のポスターが会場の至る所に掲げられていた。
p313
ブリュッセルでEUの高官が語った。「おもしろい。イギリスがトップのとき、自由貿易の牽引役だった。つぎにアメリカがトップになると、やはり自由貿易を推し進めた。そしていま中国が自由貿易を支持している。歴史はくり返すんだな」

p314 アメリカと中国の役割の逆転

p315
トランプ政権は発足と同時に大混乱。一年でふたりの国家安全保障問題担当大統領補佐官(マイケル・フリンとHRマクマスター)だけでなく、国務長官(レックス・ティラーソン)も更迭。中国の冷静で長期的思考と対照的。
二〇一七年五月、トランプ大統領弾劾の可能性。ジェームズ・コミーFBI長官の更迭をめぐって。そのとき習近平主席は国際サミット主宰。「一帯一路」構想の宣伝。
二〇一七年、中国~EU を結ぶ貨物鉄道開通。
ユーラシア大陸を世界の中心地として復活させることが最終ビジョンか。

p316

トランプはことあるごとにドイツのアンゲラ・メルケル首相を目の敵にした。
二〇一五年、一〇〇万人超の移民を受け入れた彼女の決断を「正気の沙汰ではない」と断じた。
二〇一八年、「ドイツ国民は自分たちのリーダーに背を向けている」と興奮気味にツイート。

p317
トランプは習近平やウラジミール・プーチンなどの男性的な独裁者を相手にしているときくつろいでいる。メルケル首相やイギリスのテリーザ・メイ首相などの女性指導者とは相性が悪い。
トランプがこだわる要素は三つ。
一、貿易
二、移民
三、同盟国の「ただ乗り」

メルケルのドイツは対米黒字が大きいせいもある。難民に寛容なメルケルと反対に、トランプのアメリカは難民に厳しい。
厳しくするのは、国家存続にかかわる問題だからと正当化し、その証拠として、ヨーロッパのテロリズムに注目する。トランプやナショナリズムを標榜するヨーロッパの同志たちにとっては、メルケルの衰退は自分達を正当化する。

p318
欧米同盟はむしばまれつつある。ヨーロッパが弱くなれば、アメリカが強くなり、アメリカは偉大さを取り戻す。それがトランプの計画であり、メルケルを攻撃する理由なのか。しかしそれは富と力がますます中国に移ることになる。すなわちアメリカの衰退の加速である。

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