20190723『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』リンダ・ユー

20190723『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』リンダ・ユー
p9
二〇〇八年の金融危機は、旧来の経済成長の方法にはもはや持続不可能な部分があることを知らしめた。
いっぽう、(中国など)多くの発展途上国の急成長は「その成長がどう実現したのか、世界の貧困撲滅という課題にどんな意味があるか」を検証をべきだと示唆している。
二〇〇八年の危機以降にアメリカやイギリスは自国経済の成長要因を見直してきた。
中国は経済大国に急成長した。
ヨーロッパは投資増加によって経済成長を促している。
日本は政府の大規模介入によって経済停滞を終わらせようとしている。
※要するに本書のテーマは「経済成長(その質と性格)」であり、資本主義宗教と人類の幸福についての現状解説である。
p10
二〇〇八年の危機で金融サービスに依存するマイナス面が明らかになり、イギリス政府は製造業再興により経済バランスを調整しようとしているが(これまでのところ)失敗している。
危機から一〇年たち、サービス業は景気後退前の水準回復。製造業は回復せず。アメリカや中国も持続可能な成長のために経済を再調整している。
***
第11章 ダグラス・ノース なぜ豊かな国はこれほど少ないのか
p308 国連は、二〇三〇年までに極度の貧困をなくすという目標。一日一・九ドル(二〇〇円)で暮らす人がいなくなる。
一九八一年、世界の半分以上(五二パーセント)が極度の貧困。現在は世界人口の一〇パーセントまで減少。(略)中国の経済成長と東アジアの発展による。東アジアは一九八一年には五人に四人(八〇パーセント)が貧困。これが八パーセントになった。東アジアでは、三〇年以内に貧困が無くなるとみられる。
p309
サハラ以南のアフリカは、極度の貧困で暮らす人々が増えた唯一の地域。(略)アフリカ人口は世界人口の一一パーセントだが、アフリカの極貧人口は世界の極貧人口の半分以上である。(略)全体的に見ると並々ならぬ成果。人類史上初めて、極貧人口は一〇人に一人だけになった。
p310
二〇三〇年、貧困をなくすという国連の目標が実現すれば、推定八六億人の世界人口のうち二億五〇〇〇万人(*)を除く全人類が極貧から脱出している。
(*)失業時などの一時的貧困(摩擦的貧困)による世界人口の三パーセント。貧困率三パーセントなら貧困絶滅と同じと世界銀行が想定。
p310
中国から学べ。中国の貧困率は一九九年にはアフリカより高かったが、過去数十年における世界の貧困減少は中国で実現した。経済成長が原因ではない。アジアに次いで経済成長率が高いアフリカでは貧困が減っていないからだ。たいていの中国人は(土地や資源を利用せず)みずから事業をおこなって貧困脱出した。これはアフリカとは反対である。「アフリカの所得増加要因は天然資源。その収益は広く分配されていない」(オクスフォード大学の経済学者ポール・コリアー)
(ではどんな事業かといえば、)中国では、農業の生産性を高める政策によって農村部の何億人もの人々が貧困脱出した。
p311
アフリカと違い、中国は海外援助に頼らなかった。援助は必ずしも貧困脱出に繋がらないということ。「援助の活用方法を大幅に見直せ」(海外開発研究所(ODI))
p311
極貧人口の半数はアフリカに残りの三分の一は南アジア(インド)に住む。
アフリカのタンザニアは経済成長率が高く紛争もないが、貧困層が二〇年前の九〇〇万人から一五〇〇万人に増えた。
南アジアも経済成長はしたが、東アジアに比べれば遅れているため、経済成長だけでは(世界人口の一〇パーセントである)七億六七〇〇万人を貧困脱出させられない。

***
p356 関税とは
p357 TiSA (新サービス貿易協定)
Q:新サービス貿易協定TiSAに至る経緯と
背景は?

A:1995年にWTOが設立・発足して、サー
ビス貿易に関する初めての多国間協定である
サービスの貿易に関する一般協定(GATS)
が発効されました。しかし2001年から始まっ
たドーハ・ラウンド交渉が2008年以降に停滞
したことから、発効後18年が経過したGATS
以上のサービス貿易の自由化を実現するため
の協定が必要との認識が有志国において醸成
され、2013年6月にWTOの有志国・地域に
よる「新サービス貿易協定TiSA」の共同発
表がなされました。この協定は、米国を中心
とした多国籍企業と企業ロビイストの主導で
推進されてきたもので、ドーハ・ラウンドと
は別の取り組みです。
http://www.spmed.jp/

具体例
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/service/service.html

p358
TPP(環太平洋パートナーシップ)
TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)
RCEP (東アジア地域包括的経済連携)中国
FTAAP (アジア太平洋自由貿易圏)中国
WTO が機能しない。世界協定はできない。地域協定、二国間協定ができている。
AEC (ASEAN経済共同体)六億人。人口でEU に匹敵。二〇一五年末。
EU の経済成長率一~二パーセントだが、ASEANは五パーセント超。
アメリカは二国間貿易協定に重点を置き、不透明性が増している。「アメリカ第一主義を実施しているからだ」(トランプ大統領)
※グローバル化は無理で地域間協定に分裂する。そしてまた統一を目指す。この繰り返し。

p360
《ニューヨーク・タイムズ》紙による大統領選の出口調査によると、トランプに投票した人々は経済が低迷していると考えており、民主党候補のヒラリー・クリントンに投票した人に比べると貧乏(世帯としてのみ財政状況が悪い)だった。(略)トランプはグローバル化に目を向けた。※コイツ(グローバル化)を敵にしよう、というわけだ。

p363
どこへ行ってもトランプの支持者は必ずいて、とくに熱心な支持層はこの数十年間で自分は敗者になったと考えている人々だった。

■難題 グローバル化による敗者の救済(格差の是正)
p363
グローバル化は新興国の急成長を助けてきた。(略)先進国と発展途上国の所得格差が小さくなった。とはいえ、世界的な所得格差は変わっていない。各国の内部では改善されていないか、あるいはさらに拡大しているから。(アルフレッド・マーシャルの章を参照)
p364
イギリスでは、経済格差が「グローバル化」と「資本主義」に対する反対の原因。イギリスのスローガンは「包括的な経済成長」
※格差をなくせ。全員で金持ちになれ。

格差1 貿易が原因
格差2 中程度技能労働者より高度技能労働者を利する技術革新が原因
格差1< 格差2

※内向きになるのはそれまで儲かっていたのに儲からなくなったから。具体的にはイギリスのEU 離脱(ブレグジット)やアメリカのアメリカ第一主義。国内格差を何とかしようとした結果の方針である。しかしこれは長期的にはよくないと筆者は言うだろう。歴史の偉大な経済学者ならばこう言うだろうという形で。しかしトップにとどまりたいという欲望を集団(国家)が捨てられるのか? 個人ならば可能だろうが。

p369
ポール・サミュエルソン最後の偉大な総合経済学者
一九七〇年、ノーベル経済学賞(創設二年目)受賞
※しかし二〇〇八年リーマンショックは起きた。彼(の学説)は人類を救えていない。いかに優れた人間が発言してもそれを聞く人がいるとは限らない。最高の歌手が評価されるとは限らない。

優れた問いは安易な答えに勝る(ポール・サミュエルソン)

貿易の利益が格差を生む原因解明。

p372
たとえば…
デヴィッド・リカードの国際貿易論が保護主義的な穀物法の廃止につながった。
ジョン・メイナード・ケインズは一九三〇年代の大恐慌後の景気回復に貢献した。
ミルトン・フリードマンがこの不況の原因解明に取り組んだおかげで二〇〇九年、(略)大恐慌期の過ちを繰り返さずにすんだ。
※二〇〇年以上、ヒトは資本主義を研究してきた。ゆえに思想は役に立つ。しかし解答はまだ見つかっていない。

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