私たちはどこから来て、どこへ行くのか 森達也 九章~

第九章 なぜ脳はこんな問いをするのか 池谷裕二(脳科学者)

p275 池谷「渦ができたほうが、水が早く抜ける。生命体はエントロピーが減少している構造体ですから矛盾した存在に見えますが、全体の方向性(エントロピー増大)にはむしろ貢献している。私たち生命体は、宇宙を少しでも早く老化させるために存在している」

p283 池谷「自己のアイデンティティは錯覚。問うに値しない仮想幻覚。ヒトは自分にアイデンティティがあると錯覚するようにデザインされていること自体が面白い。結果としてアイデンティティという概念はありありと知覚される」

でも、その誤解する主体が、どこかにあるわけです。

池谷「それこそが、言語によって仕掛けられたトラップ。言語がなければ、アイデンティティという言葉も概念できない」※概念できない? 誤植か?

p284 池谷「脳の中にあるのは神経活動のイオンの流れ以外の何ものでもない。そんなイオンの渦に「自分って何だろう」という疑問を持ち込むこと自体がおかしくて」

p285 池谷「心と脳は別だと考えてしまうことによって、珍妙なループの悲劇が起こる」

我とは脳の中の神経活動=イオンの渦

p287 現実と仮想現実を識別する方法はない。

p288 池谷「僕たちは欠陥だらけの脳でもかろうじて理解できそうな対象に絞って世界を記述した気分に浸っている。これが科学。まさにオナニー。言ってみれば脳のバグ」

p288 物理法則は宇宙共通ですよね。

池谷「違います。カエルは動いているものしか見えない。カエルには質量保存の法則は成立しない」※動いている虫が止まったらカエルにとっては虫(質量)が消えてしまう。

p289 ならばE=mc2などの大命題は?

池谷「違うと思います。E=mc2 はあくまで、ヒトに理解できるように考えられた数式ですから。宇宙はヒトに理解されることを目的として存在しているわけではありません。ヒトが物理則を構築するか否かとは無関係です。ヒトは自分に理解できる数式で表しているだけ。だから、ヒトの物理則と宇宙人の物理則が違うことはあるはず。でもヒトには、彼らの物理則は黒魔術でもやっているようにしか見えない。ヒトの思考の射程距離はせいぜい、そんな程度です。(略)『ソラリスの陽のもとに』というSF で、あの惑星で出会ったものについて(登場人物は)理解できなかった。そんなものだろう」

p290 私たちは世界を歪めることで認識している

事実は(メディアが)どこをどう切り取るかでぜんぜん違って見える。これに気づくことがリテラシーです。

p292 「事実などは存在しない。ただ解釈だけが存在する」(ニーチェ『権力への意志』)

「我々は表象のみを認識している」(カント)

「世界は私の表象にすぎない」(ショーペンハウエル)

メディアの情報は記者やカメラマンやディレクターの解釈である。

p294 「語りえないことについては、沈黙しなければならない」(ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』)

このフレーズの意味は、言語によって規定されることで矮小化されることへの警鐘だと僕(著者)は解釈している。

p295 池谷「脳のポテンシャルを制限しているのは身体です。例えば地磁気。地磁気の微小チップをネズミの脳に埋め込むと、目の見えないネズミでも、地磁気を使って迷路を解くことができる。(略)次は脳と脳をつなげるプロジェクトを始めています。ただ今年、ミゲル・ニコレリスに、先に成果を出された。一万キロ離れた二匹のネズミの大脳皮質に電極を埋め込んで脳と脳をつなげる。それによって、わずか〇・一秒以内の時間差で二つの脳が同期した。つまり感覚や運動の情報を二匹がシェアできる」

情報の転送はどうやって?

池谷「インターネットです。」

p299 池谷「二〇一三年の八月にすごく考えさせられた進展がありました。オーストラリアの研究グループがiPS細胞を使って「人工脳」をつくることに成功しました。まだ一〇ヵ月ほどしか培養できなくて、四ミリぐらいの大きさにしかならないのですが、でも、きちんと目がついていて、人工脳の中の神経細胞は独自の活動を育んでいるんですよ。それは「心」ではないと言い切れますかね。彼らはアンドロイドという言葉にかけて「オルガノイド」という言葉を使っています。人造臓器という意味ですね。もし心を持っていたら大問題ですよ。(※マウスはよいのかな?)ネズミの脳ではなく、まぎれもなくヒトの細胞からできた脳なんですよ。試験管の中にいくらでも「水栽培」できるわけです。しかも自分の皮膚細胞からできた脳です。人工脳が自分自身なのかどうかは別として、でも、もしかしたら何かを感じている可能性は否定しきれません。となれば、作製した人工脳をゴミ箱に捨てたら殺人罪になるのだろうか、とかいろいろ考えてしまいます」※延命治療もしかり。幸せな人生とは命をどう使うことなのか。

以下後日

第一〇章 科学は何を信じるのか 竹内薫(サイエンス作家)

p314 竹内「ネズミは素数を理解できない。人間にもネズミと同じような種としての限界があるはず。現在の人間には絶対に解明もしくは理解できないものがある。だから神という存在は当分安泰だなと」

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