動的平衡2 福岡伸一

第1章 「自由であれ」という命令

p52 生命の進化速度は、突然変異の発生頻度よりずっと速い。生物の多様化には、そのように見える局面がある。代表例が〈カンブリア爆発〉。五億数千万年前の古生代カンブリア紀、突如として、今日見られる動物の門が出そろった。さらに、奇妙な生物がたくさんあらわれた。(ドーキンスの論敵スティーブン・グールド『ワンダフル・ライフ』参照)

p56 卵環境は、母なる生命体が生きて獲得した情報。卵細胞の中に何が含まれているか。それはまだわからない。けれど、基本的な卵環境はメスを通じて代々受け継がれていく。そう考えると説明できることは多い。

p57 犬の品種は遺伝子的にはほとんど違わない。(略)犬種の多様性は遺伝子の違いだけから生じているのではなく、共通に有している遺伝子の動くタイミングや順番、ボリュームが異なるからでないか?

ダーウィン以降の生物学は「生物は遺伝子に突然変異が起こらないと変われない」と考えてきた。けれど(いま)エピジェネティックス(※遺伝子の外)という新しい生命観が。十分な市民権は得ていないが私(※福岡伸一)もその一人。

遺伝子は楽譜にすぎない。誰がどう演奏するかで違う音楽になる。そう考えた方が(※私は遺伝子のただの乗り物だ、と考えるより)豊かに生きられるのではないか。

第2章 なぜ多様性が必要か〔〈分際〉を知ることが長持ちの秘訣〕

p60 子孫を残せないソメイヨシノ

ソメイヨシノは一代雑種(コマツオトメとオオシマヒガンを交配)。江戸時代起源で、明治期に、江戸の染井村(東京都豊島区)の造園業者が育成、全国に。

p62 植物は不死。植物の細胞は受精卵でなくても万能。(ES 細胞やiPS 細胞は多分化だが万能ではない)ちょっと若い枝を挿し木や接ぎ木すれば、そこから立派なソメイヨシノが成長する。挿し木でソメイヨシノは全国に。(略)植物は動けない代わりに、自分の身体の一部からいつでも自分のコピーを再生できる。そもそもクローンとは〈小枝〉という語源をもつ。日本のすべてのソメイヨシノは、もともとたった一本のソメイヨシノに由来するらしい。北海道のソメイヨシノも九州のソメイヨシノもDNA を分析すると同じ特徴(DNA 指紋)をもつという。

p66 六五〇〇万年前、地球大異変。一説では、ユカタン半島に墜落した隕石による気候変動。巨大恐竜、アンモナイトなど七割近い生物が絶滅。哺乳類と鳥類が進出。

p70 レイチェル・カーソン『沈黙の春』。『センスオブワンダー』神秘さや不思議さに目をみはる感性。

p71 この世界が、私の思考を超えたところに実在していることを確認する感覚。(略)自然の細部に宿る美しさに目をみはれることが、世界の実在性を立証している。「コギト・エルゴ・スム」というよりむしろ「サンス・エルゴ・スム」と私(福岡伸一)は言いたい。

p72 遺伝子操作は美しいと思えない。時間が経過するとより大きなリベンジとしてあらわれるかもしれない。※MRSA

p75 ニッチ(生物学用語)=生態学的地位。

p79 多様性が局所的に急に失われると、それは(生態系全体の)動的平衡に決定的な綻びをもたらす。受粉の道具として品種が均一化されすぎたミツバチに次々と異変が起きているのはその典型的な例に見える。国家間のエゴや効率思考が先行すれば、生物多様性の理念はあっという間に壊れるだろう。地球はしなやかであると同時に薄氷の上になりたっている。ニッチは〈分際〉と訳せる。ヒトだけが分際を逸脱している。他の生物のニッチに土足で上がりこみ、連鎖と平衡を攪乱している。ヒトはすでに自分のニッチを知らない。ヒトは、生命観と環境観のパラダイムシフトを考えるべきだ。

第3章 植物が動物になった日〔動物の必須アミノ酸は何を意味するか〕

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