情報の歴史を読む 松岡正剛【第一日目】RNA から聖書へ

情報の歴史を読む 世界情報文化史講義

松岡正剛

【第一日目】RNA から聖書へ

1歴史を情報の窓から眺める

2情報文化史は彼方から始まるp24

p25 「ヒトゲノム」三〇億文字。一九八九年(同年ベルリンの壁崩壊)アメリカ「ヒトゲノム計画」開始、二〇〇億円。日本は三五億円。ヒトゲノムの九五パーセントは「ジャンク」といって意味がない遺伝子(情報)。

p26 一九八八年、統計遺伝学者アラン・ウィルソンとレベッカ・キャン「ミトコンドリア・イヴ」発表、統計的に推定されたヴァーチャル・イヴ。二〇万年くらい前。分子人類学。

p27 ロシア革命、ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世の生き残りの王女と名のりをあげた女性アナスタシアがいた。

※アナスタシアを名乗る偽者は、1920-30年代に少なくとも30人が確認されているが、その中でこれほどの支持を集めたのは、アンダーソン一人だけで、彼女の類稀なる才能のおかげといえる。1920年代にはヨーロッパ社交界の華となり、ハリウッドで2度も映画化され、少なくとも3本のTVドキュメンタリーが作られ、ニクソン大統領の就任式にも呼ばれた。これほど彼女が成功した間接的な理由は、ロマノフ一族全員の殺害命令を下したレーニンが、ニコライ2世一家処刑後に、「ニコライ2世は処刑されたが、家族は安全な場所にいる」という嘘の公式発表をしたことや、ソヴィエト政権がアナスタシアを含むロマノフ一族を処刑した事実を、ソ連崩壊まで隠蔽し続けたことによる。(Wikipediaアンナ・アンダーソン)

p28 最近〈ニコライ二世の遺体〉とされる遺骨からDNA採取。ニコライ二世が日本を訪れたとき大津で津田巡査に切りつけられたときのサーベルが残っているのでそこから採取できる血痕のDNAと比較した結果、一致。DNAはこのように時空をまたいで生きている。

p29 最初の単細胞生物にひそんでいた情報は? 仮説では、宇宙から「情報の種」がやってきた。

p30 情報生命(情報高分子)は、藍藻類になり、プランクトンになり、魚になり、両生類になり、哺乳類になった。私たちの体に入りこんでいった。

p33 ビッグバン、一〇〇〇億度くらいの〈熱い宇宙〉。すぐインフレーションがおこり、反物質が消え、ハドロンがつくられ、一八〇秒で水素とヘリウムの原子核がつくられる。〈宇宙は最初の三分間でつくられた〉。一〇万年で水素とヘリウムの原子がつくられる。五億年で〈宇宙の晴れ上がり〉。一〇億年で超銀河集団がつくられ、銀河系や恒星がつくられる。一〇〇億年で惑星がつくられる。一五〇億年で生命がつくられる。

p34 〈無〉のなかに特異点(シンギュラー・ポイント)が出現して、連鎖的に爆発して、超銀河ができる。わかったような、わからないような話。

ビッグバン理論を考えたのはジョージ・ガモフ、『不思議の国のトムキンス』など。

p35 「宇宙の晴れ上がり」はビッグバンの名残である電磁波の輻射。光が電子の束縛から解放された状態。われわれが知りうるいちばん遠い〈宇宙のヘリ〉。このとき宇宙温度は三〇〇〇度Kもある。「晴れ上がり」が、いま、われわれにも観測できる。そこには三度Kの輻射が見える。「宇宙背景の三度Kの輻射」とか「バックグラウンド輻射」とかいう。これをガモフは予言し、的中させた。一九六五年にベルギー研究所のペンジャスとウィルソンが輻射の証拠を発見した。

p36 三〇〇〇度Kの宇宙輻射が、なぜ地上では三度Kの輻射として観測されるか。発生時が一五〇億年前で、それがいまやっとマイクロ波として地上に届いているから。ドップラー効果によって一〇〇〇倍も光の波長がのびて見える。それで、ずっと大昔の「晴れ上がり」をわれわれは見ているということになる。これがとても重要で、すなわち、「情報は必ず遅れてやってくる」

p37 シュバルツシルド半径。ブラックホールの中。光が出てこられない。光がなければ、そこには情報もない。

p40 「自分」という単位はあやふや。「私」はそういうあぶなっかしい情報文化単位。(略)われわれはもともとが情報生命複合体。意識は、そのような情報生命複合体の中から突起してきた文法的な主語みたいなもの。

3情報をつくりだすシステム

p42 情報高分子は三つの能力。

組織能 自分の体を組織する(自己保存)

複製能 同じものをコピーする(種の保存)

触媒能 他とかかわって相互作用したくなる

いよいよ「複雑な高分子状態の情報生物体」がつくられる。これが「生物」の本体。

※意識は生物の本体ではない。

p44 情報は、無秩序にむかうことに対抗して生命という秩序をつくりだしている。

※わお。生物は負のエントロピーを食う。

p45 宇宙は放っておけば無秩序に向かう。(略)例の浴室宇宙は熱死の状態。浴室は熱力学状態としては無秩序になっていた。つまり「でたらめさ」が最大値に達していた。でたらめは言い直せば「区別のない世界」。そこには情報もない。情報は区別が本質だから。

p46 宇宙は熱死へ向かう。フリードリヒ・ボルツマンの熱力学の法則。ところが地球は宇宙の中心の熱源から離れすぎているので平衡状態になる前に、熱力学的な「ゆらぎ」をおこして生命という糸をつくりだした。つまり情報をつくりだした。これを量子力学者アーウィン・シュレディンガーは「生命は負のエントロピーを食べている(『生命とは何か』岩波新書)」と表現。(略)同じことをプリゴジンは「生命は無秩序(caos)から秩序を生んでいる」といった。order from caos (略)結局、情報とは「でたらめさ」の中になんとかオーダーを見つけようとする動向のこと。

※無秩序(無意味)に見える世界に秩序(意味)を見つけようとするのが、「情報」である。ってことか。

p49 RNA は情報のエディタ。

p50 ごく初期の生命は、RNA がタンパク質を合成できるしくみを知っていることを、知らなかった。その後わかって、RNA が大活躍。きっかけは突然変異かなにか。いったんRNA(エディタ)の情報編集力がわかると、DNA もRNA のエディタシップにまかせるようになっていく。RNA は自己複製能力と他者編集能力の二つともを担った。

生命と情報の関係

一、遺伝子戦略の完遂(遺伝子〈情報〉が生物体を利用。ドーキンス。利己的)

二、生体組織の設計(ハードウェア)

三、競争と適応の実験

四、外部情報の摂取(目、耳、脳)

レジュメ5 生物の進化戦略…生物の進化戦略は、海中で多様化をおこし、神経系を発達させて陸上に上がること。その際、外骨格化、有翼化、哺乳化の三つのシナリオを描き、中枢神経を統括し、編集力を強め、情報管理中枢としての脳を備えた。(一方、情報生命の進化プロセスは、分子進化から管理進化にいたる四段階を踏む)

p52 第一次戦略はハイリスクハイリターンで、ガスを出す光合成植物をつくった。有毒ガスが出ていたらその後の生命進化は失敗したかもしれない。リスクを恐れず酸素をつくり、第二次戦略として酸素入りの環境にしたがって進化した。しかし第二次戦略もハイリスクハイリターンだった。藻類は上陸して大地を覆ったが、ほぼ全滅(二畳紀あるいはペルム紀の大危機)。推定原因は大陸の劇的移動による広大な砂漠状態のパンゲア大陸の出現。

第三次戦略として植物は、生きのびる手段を胞子から種子に変えた。雌株の解放。性の分離。フェミニズム(『性の起源』リン・マーギュリス)。雌雄同体の欠陥であった同系交配よりも有利な異系交配を発見。あらゆる種類の二倍体ゲノムとの交配へすすむ。

一方、この間に別の単細胞生物から最初の動物が生まれる。鞭毛や繊毛をもつ。ゾウリムシ。摂食機能と運動機能をもち植物とは違う。

第四次戦略は神経系が保護される進化により、上陸作戦を敢行。

第五次戦略のシナリオは三つ(外骨格化、有翼化、哺乳化)。哺乳類のシナリオにヒトの戦略が入る。人類は外部記号(外の世界における自分の情報活動の記号)をつくった。情報文化は、脳を舞台に展出しはじめる。では、ヒトはどのように〈意味の動物〉になっていったのか。

4人間の誕生と意味の発生p60

p62 情報文化の差異と相似の関係はどこから発生したのか。「意味の発生」という現場。

p63 五指対向。「数」の発生。指を折る(ディジット)。情報を区切る。どうやって区切るかが情報文化にとって重要。

p65 人間の誕生=分節の仕方を変えた新しい「意味の生物」の誕生。そのための条件の一つが平行視。焦点の自由が生まれる。すなわち「ここ」と「むこう」という「距離の観念」を発達させ、「方向の観念」をつくっていった。

p68 自分たちがいる「ここ」の世界(現実世界)にたいして、自分たちがいない「むこう」の世界を想定できる。死後の世界。ヨーロッパなら、アトランティス、ユートピア、アルカディア。東洋なら、シャンバラ、浄土、彼岸。「むこう」は、原始宗教の発生。

「ここ」の感覚をトポスの感覚という。「ここ」に定住し、村をつくり、共同体をつくり、王国をつくる。「むこう」には、畏怖をもち、憧憬をもち、征服の野望をもつ。※信長、秀吉。

これが〈国づくり〉と〈国盗り〉の歴史。人間の社会的な情報活動のスタートは、自分の場所と他人の場所を分けるか分けないかということについて、さまざまなコミュニケーション(情報の相互通信)をしたこと。

3000万年 霊長類の分化

1500万年 ラマピテクス 直立二足歩行

500万年 アウストラロピテクス 草食〈オルドワイ文化〉

250万年 ホモハビリス

190万年 ホモエレクトゥス 火

120万年 ジャワ原人 右脳左脳分離、五指分節

50万年 北京原人 食人儀礼

15万年 ネアンデルタール人 埋葬観念〈ムスティエ文化〉

5万年 クロマニヨン人 子音発生〈オーリニャック文化〉

3万年 葛生人、浜北人、三日月人

アルタミラ洞窟、ラスコー洞窟

1万年 レバント地方に農耕と集落

0.8万年 縄文出現

p70 リチャード・リーキーは二足歩行確立、五〇〇万年前のアウストラロピテクスの第一号を「ルーシー」と名づけた。ミトコンドリアイブは二〇万年前。

人工物があることを「文化」と呼んだのは、二〇世紀初頭のゴードン・チャイルド。

p71 一五〇万年前のジャワ原人、北京原人は右脳左脳分離、五指分節がおこり、火を使用したが、恐ろしい食人儀礼(カニバリズム)の習慣。同種殺し。ほかの動物には見られない。

「人類の最初の問題は、〈死の恐怖〉と〈殺人衝動〉のコントロール」

もう一つ。人間は性信号を隠した。パンツをはいたサル。サルは性シンボルの状態が〈うしろ〉から見える。情報公開。ヒトは二本足で立ってしまった。性シンボルのメッセージを半分以上隠した。そのかわり男と女がむきあうようになり、〈対面性〉を確立。性シンボル隠蔽は発情期喪失につながった。

p75 交尾の意志を伝える手段を〈発明〉する必要。それが「表情」「身ぶり」そして「言葉」。これらはもうちょっとあと、脳容量が増えてから。

p76 二〇万年前、ネアンデルタール人の脳容量一三〇〇グラム。五万年前、クロマニヨン人は一六~一七〇〇グラム。われわれと同じ。「新人」。旧石器時代は後期にはいり、フリント製の石器が登場し、最古の刻線画が出現。オーリニャック文化。ヨーロッパ草原化。ヴュルム氷期。新人類の敵・大型動物激減。

p77 難産と育児の問題。ネオテニー。

p78 「立ち上がった人類は、難産と育児をひきかえに、巨大な脳を持った。すべての歴史は、この大きくなりすぎた情報処理能力に富んだ脳にはじまった」

大発明「言語」。たくさんの仮説。松岡正剛は「子音発生」と関係あり、と考えている。指分節が「数」を発生させ、喉の分節が「言葉」をつくった。

新人類の言葉の音には、のちに線や図や文字になりやすい分節性が含まれていたのでは? この分節性をつくったのが子音。(松岡正剛)

p80 強調するが、ヒトの情報文化史は、直立二足歩行の段階で根本的制約をうけ、ゆえにさまざまな情報編集的スタートをきった。

5原始観念技術の威力p82

p83 「思えば、実る」観念技術

p86 輪郭図(ラスコー、アルタミラ)はコミュニケーション・ツール

「線の歴史」は、まずリズムの線、次にかんたんな文様、それから輪郭線が誕生。

p87 リズム文様の中で、うけつがれたのは渦巻き文様。世界中に多い。洋の東西で同じ。(略)文様は部族のアイデンティティ・シンボルやトーテムになる。文様が呪力を持ったから。(※現代の貨幣。呪力=観念技術の部族化)

p88 なぜ、こんなことがおこるのか。原始古代にはコレクティブ・ブレイン(集合脳)の状態があったから。一族全体が一つの考え方をもっていた。印象派とかアールヌーボーとかダダイズムとか、表現技術の集団化。

p89 そうなると観念技術集団AとBのあいだで競争や補完がおこる。「文様戦争」。

p90 文様は旗や家紋になる。

p91 線の発見はリズムの発見。輪郭の発見はデザインの発見。

※観念(フィクション)の発見は、ヒトの消滅。なぜなら観念上の(理想の)ヒトと現実の人は異なるから。〈これ〉はほんとうの私ではないと自己否定する。

p91 土器や石器は別に「威信財」(ステータス・キット)としての力も発揮。そもそも土器が焼かれるのは、氷河期が終わる一万五千年前のちょっとあと。アルタミラやラスコーの洞窟画の描かれるころ。氷河期の大型動物(マンモス、オオツノシカ)がいなくなり、ヒトは食糧危機。洞窟画は動物が戻ってほしいという願いも。

p94 旧石器と土器の中間が新石器時代。多種多様な石器。これはあらゆる食糧の食べ方をさがしていた証拠。このころ、ヒトは自然を学習し、また南北アメリカ大陸から太平洋の島々まで移動して散る。そこに多様な人種と言語が生まれた。

p94 農耕は、情報文化史的には、〈人工的な生産空間開発の開始〉を意味する。

※『サピエンス全史』の農耕革命。その他の用語では、自然管理。

p95 (農耕とともに)土器は重要な道具に。そして土器そのものが一族のアイデンティティ・シンボルに。威信財に。ヨーロッパでは〈ビーカー土器〉が威信財に。

p96 いよいよ「文字の誕生」で観念技術のピークを迎える。「文字の使用は言語の公用化をうながす一方、一定の文字の組み合わせが特別の呪力(神)をもちはじめていく」。

まずシュメールの絵文字。(略)勘定と担当名簿。(略)子音のみ。

p97 エジプト。パピルス。紀元前三〇〇〇年前。

p100 アッカド人サルゴン一世、アッカド帝国。世界史上最初の帝国。『ギルガメッシュ』。ギルガメッシュという英雄が怪力のエンキドゥと協力してフンババという森の怪物を倒して友人になる。ノアの洪水の話もある。『聖書』はここからずいぶん盗作。『ギルガメッシュ』は紀元前二三〇〇年前。子音のみのアッカド語は物語を書いた最初の言語。

p101 世界の語族。写真撮影20190107

p109 ボスニア・ヘルツェゴビナのことはともかくとしても、こうした民族と言語と文化と宗教をめぐる複雑な組み合わせは、今後ますます激しくなる。とくに宗教が加わると、話はややこしい。

p110 世界中が「ネーションステート(国民国家)」と「エスニックステート(民族国家)」のあいだでゆれている。

文明=都市と市場をもった広域情報システム

文化=多様性を克服した情報モード(※共通化したもの?)

p111 文字と言葉の話を終えて、次は宗教の話。原始古代における信仰の発生と分化の話。「宗教と国家の起源」が同じだったという話。

6宗教と国家の起源p112

p113 勝者は敗者に強制的に情報的な服属をさせた。「イマジナリー・メモリー」。セルビア人だと思っていたら、いつのまにかボスニア国民にされていた。

p114 飛び散っていた民族的な情報文化を統合し、再構成する情報システム。「マツリゴト」。まつらう=着物の裾をまつろって中央を安定させる。ようするに「まとめあげる」。祭政一致型の宗教国家システム。古代情報のホストマシンといってもよい。為政者はこのシステムを他の部族や地域におしつけたい。ダレイオス、アレクサンドロス、アショーカ。

p115 まず紀元前二二〇〇年前後のセム人の移動。(略)次々に移動。(略)この時期、インダスやバビロニアに十進法が生まれる。深い意味がある。集団移動には「度量衡の統一」「ポータビリティ(持ち運びやすさ)」が重要。そこで天秤にのせる分銅が発明された。持ち運びが容易になっただけでなく、違う地域の度量衡に狂いを起こさない。このような技術開発が経済の統一をうながす。

p117 宗教がホストマシンのエンジンだった。エンジンになる条件としては〈神殿がつくられたかどうか〉。

p120 聖なる場所=神殿が都市につくられたことは、宗教と国家の起源が同じである歴史的根拠。

注目は紀元前三四〇〇~三〇〇〇年あたり、西アジアに農耕と集落があらわれ、それがシュメール人移住によるウルク都市国家群の形になりはじめたころ。神殿出現。神々との契約の記念すべき第一歩。

シュメール三大神。イアンナ天空神、エンキ大地神、エンリル大気神。ジッグラッドの頂上に神殿。

p121 ついでこの都市群にアッカド帝国。そこでマルドゥック神が招来。もともとハンムラビ王時代のバビロンの一都市神。それがアッカドの国家神に。悪霊や病気を駆逐する呪術的医療を発揮。神の形を借りた観念技術の表現。※思えばかなう。

マルドゥック神の鎮座は残りの神々の役割の再編成になる。イマジナリー・メモリー。以上『エヌマ・エリシュ』。『ギルガメッシュ』とともにメソポタミアの二大叙事詩。物語のポイントは、マルドゥックがティアマトという先行神を撃退。ティアマトはそのため悪神にされた。負けた神は悪神になる。このあと長く世界の宗教史のドラマトゥルギー(戯曲の書き方)を飾る。マルドゥークもアシュール神の前で衰える。ワーグナーのオペラのように、神々の黄昏。アシュール神はアッシリア人の神で、アシュールの力でアッシリア人はアッカド帝国を滅ぼし、アッカドをはるかに凌ぐアッシリア帝国を築く。

p122 要するにどの神がホストマシンのエンジンになるか。

p123 これで、マツリゴトとは、宗教と国家の起源を一致させるためのしくみであって、そのためには〈マツリゴト・ホストマシン〉のエンジン神が常に〈用意〉されていたことがハッキリした。そのたびに〈悪神が特定されてきた〉。

違うパターンの代表がエジプト。勝った神が負けた神を引き継いだり並列したりした。だから神が減らない。第一八王朝のイクナートンの一神教アトンは例外。イクナートンは異端者としてあとで王のリストから外された。

p124 エジプト神話は、セトに対するオシリスとホルスの争い。セトは上エジプトの象徴。豊饒神オシリスと隼神ホルスは下エジプトの象徴。両地域の二つの王冠を統合する最高神がファラオ。首都も上下エジプト境のメンフィス。ファラオは生きている間はホルス、死んだときはオシリス。経済文化システムとしては、〈生の生産〉と〈死の消費〉で完結。(?)ピラミッドやミイラの発達は、ホストマシンの中に生と死が入っていたから。(略)のちにこの物語はローマに。オシリスの死を復活させたイシスの物語。美術史に頻繁に登場。

p126 【写真】ヤハウェ信仰、アフラ信仰、デーヴァ信仰20190112

ヤハウェはモーセが出会った神。ユダヤ教は、メソポタミアのウルの都市国家が最初の舞台。族長アブラハム(セム人)の集団が西へ向かい、紀元前一八世紀ころカナーンの地に。ユダヤ文化はセム文化の代表。子音文字のセム文化。それが、アーリア=ゲルマン系の文化と情報激突し続けるのがナチスまでのヨーロッパの隠れた歴史。(略)推定紀元前一二七五年、モーセの出エジプト。エクソダス。記念が〈過越の祭〉。〈十戒〉、ヤハウェ信仰の第一歩。「私は〈私は存在する〉という者である」(『出エジプト記』)ユダヤ人を排撃しつづけたヨーロッパの歴史は、この絶対的な〈存在の力〉をおそれた。(略)カナーンは時代によってパレスチナ、イスラエル、ユダ、ユダヤなどと呼ばれる。(略)モーセの生い立ちは謎。フロイトは、ユダヤ人でなく、エジプトのイスラエル人とカナーンのヘブライ人を統合したオーガナイザーという説。

p129 二〇〇年ほど士師時代。王サウル。ダビデ王。紀元前一〇〇〇年ころユダヤ人王国。紀元前九五八年、ダビデの子ソロモン王がエルサレムに神殿をつくり、そこに〈契約の箱〉を納める。南北に分裂。預言者エリヤ、イザヤ、改革うまくいかず。雄牛信仰の土俗的バール神信仰がひろがりユダヤ教が融合しそうに。紀元前八二〇年ころ、エリヤらはバール神信仰者を殺してそれを防ごうとした。ジョゼフ・キャンベル(アメリカの神話学者)はこのころの殺戮の習慣が今日におよぶ〈戦争の原型〉をつくったという。紀元前六〇〇年ころから半世紀〈バビロン捕囚〉。

p131 古代イラン〈アフラ信仰〉と古代インド〈デーヴァ信仰〉は同一母体。

「ある情報文化はある母型をもつ」

「情報の技術化はツールをつくる」

「情報の伝播は〈対発生〉する」

対発生は、母集団の情報技術がスプリットして、一方が先行して勢いをつけ、それに対抗して他方が似て非なる情報システムをまとめる。※プロテスタント

p134 アーリア民族の移動。ある母集団。ヴァルナ(水)=ミスラ(火)・システム。最高位が主神〈アフラ(光)〉。これが分裂。のちにイラン系民族がアフラをもっていく。そして〈アフラ・マズダ〉とよぶ。もうひとつのインド系集団もすぐにアフラ信仰はやめられない。イラン系はインド系のアフラを〈アスラ〉と蔑称。悪神にする。

p135 インド系は悪神化されたアスラに対して善神デーヴァを想像してホストマシン・システムをつくりあげる。デーヴァはアスラと闘い勝利。一族としてインドラ神やヴィシュヌ神。ヒンドゥー教の基本原理。『リグ・ヴェーダ』。

p136 そのごイラン系はゾロアスターの時代、哲学的編集。ニーチェのあのツァラトゥストラのこと。紀元前六世紀。ちょうどバビロン捕囚のころ。聖典はゾロアスター作といわれる『ガーサー』とのちに集大成された『アヴェスター』。『ヴェーダ』と『アヴェスター』は多くの言葉づかいが似ている。

p137 宗教は、その後の情報文化をあらゆる面に、美術にも、音楽にも、宰相にも職人にも、入りこんだ。しかしそのためには宗教のもたらした情報がいったんデータベース化される必要があった。明日はその話。

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