『牛肉の歴史』LORNA PIATTI-FARNEL

『牛肉の歴史』LORNA PIATTI-FARNEL

p8 人類が他の生き物を家畜として飼うようになったのは一万二千年前で、山羊や羊、ブタといった小型の動物が中心。牛の家畜化は紀元前八千年(※一万年前、となぜ書かない?)

牛の家畜化が始まった場所は、肥沃な三日月地帯(メソポタミアおよび現在の中東の大部分)だと考えられてきた。しかし、牛の家畜化とそこから派生した牛肉食は、多くの文明の歴史に刻まれている。

p9 ひとたび牛が家畜化されると、農耕が広まり、狩猟採集による暮らしは終わった。

p11 一八九六年(※日清戦争終結翌年)、人類学者エドゥアルト・ハーンが次のような説を唱えている。人類と牛(当初は野生、のちに家畜)とのつながりは月が生殖の象徴だったからだ。紀元前七千年、月はすでに生殖力の象徴だった。牛の角の曲がり具合が三日月に似ていることから、太古の人類は牛に対して、月が象徴するものを超える生殖力を重ね合わせたのだろう。

ヨーロッパやアフリカ、中東などでは、多くの古代文明や近代国家の宗教において牛が聖獣と崇められた例も少なくない。それこそ、神の権化とみなされたことさえある。典型的な例は、いうまでもなくインドだ。インドのヒンドゥー教は牛を神聖視しており、プリティヴィー女神と結びつけられ、「万物の母」とみなされた。

牛の飼育数が世界で最も多い国はインドだ。牛を殺してたべることはインドの大半の地域で禁じられている。近隣のイスラム教国や牛肉を食べる文化圏(パキスタンなど)との長年の対立と嫌悪の原因。

p128 牛肉と国家―イギリスの場合

食べ物と国家がきわめて強く結びついている歴史の例がイギリスだ。これは一八世紀以降である。しかしそれ以前から明確に意識されていた。※ジンのビーフイーターはイギリス人のこと。

一五四二年。『概論集あるいは健康によい食べ物(アンドリュー・ボード著)』は、「イングランド人にとって、牛肉はよい肉である」と明言している。シェイクスピアの最も愛国的な戯曲『ヘンリー五世(一五九九年頃)』を見れば、イングランド人が早くも一六世紀から誇らしげに「牛肉を食べる人々」を自任していたこともはっきりとうかがえる。

『ヘンリー五世』第三幕第七場では、アジャンクールの戦いを翌日に控えたフランス人たちが、イングランド兵を「牛肉好きな連中」とあざ笑う。オルレアン公は戦略を立てながら、フランスの勝利は決まったも同然だと語り、「痛ましいことに牛肉が底をついているため」イングランド兵は戦うことができないと豪語する。翌日の戦いでイングランドに大敗を喫するとも知らず、フランス人がこのように語っているというのは、何とも皮肉なことだ。たとえ料理の話とはいえ、シェイクスピアにはたしかに愛国的なユーモアのセンスがあったようだ。

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