20170505 毒々生物の奇妙な進化 クリスティー・ウィルコックス 第1章

p14
雄のカモノハシには用心しなければならない。なぜなら、現在確認されている五四一六種の哺乳類のなかで、この種の雄だけが毒針をもっているからだ。彼らは雌をめぐる戦いにおいて、毒をもったその後ろ脚の蹴爪(けづめ)を使うのだ。
毒液をもつ哺乳類は一二種知られている(カモノハシを除く他の種は、いずれも咬むことによって毒を相手に注入する)。

四種のトガリネズミ類
三種のチスイコウモリ類
二種のソレノドン類(*1)
一種のモグラ
一種のスローロリス

(*1)長い吻(ふん)をもつ夜行性の中米産哺乳類で、トガリネズミにちかい。

p18
それ(カモノハシが強烈に恐ろしい毒液動物であること)にもまして奇妙なことに、カモノハシの毒液は、他の哺乳類の仲間たちがもつ毒液とは非常に違う。カモノハシの外見は、まるで他の種から体の部品を寄せ集めてきたように見えるが、それと同じように、毒液もまた、他の動物から盗んできたタンパク質をランダムに散りばめて合成されているかのようである。
カモノハシの毒腺では、それぞれ異なる八三もの毒素遺伝子が発現している。そこから生成されるタンパク質の中には、クモ、ヒトデ、イソギンチャク、ヘビ、魚類、そしてトカゲのタンパク質と非常によく似ているものがある。まるで、多様な毒液生物のすべてから、誰かが遺伝子を切り取ってきて、カモノハシのゲノムに貼り付けたかのようだ。

p27
科学者たちは、最悪の相手に咬まれたり刺されたりしたときの処置法も発見した。一八九六年には、アルベール・カルメット(ルイ・パストゥールの弟子)が最初の抗毒素をつくった。(略)彼が見つけた解決策は、コブラの毒をまず馬に注射し、そのあと、咬まれた人にその馬の血清を使うこと。

p30
二〇世紀のはじめに、ロシアの科学者ミハイル・ツヴェットが、植物の色素を分離するためにクロマトグラフィーと呼ばれる技法を発明した。(略)現在では高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と呼ばれるものが登場した。HPLCは重力の代わりに高圧を用いて、溶液をより目の細かいカラムのなかを通過させるもので、毒液の研究では、もっとも重要な技法のひとつである。これによって、毒液試料を個々の成分に分離することができる。

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