20141222 3つの循環と文明論の科学 岸田一隆

3つの循環と文明論の科学
人類の未来を大切に思うあなたのためのリベラルアーツ
岸田一隆
2014.9.9
株式会社エネルギーフォーラム

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はじめに
p2
・人類は、「物質・エネルギー」「産業」「金融」という3つの循環に支えられている。
・持続可能性とは、この3つの循環がバランスを取りながら持続できることである。
・成長は、決して持続可能ではなく、定常な社会を目指さなくてはならない。(要は「一人っ子政策」かido)
p3
・私たちが維持できる社会の規模は、科学技術によって人工的な循環をどれだけ大きくできるか、価値観の変革によって経済規模をどれだけスリムにできるか、この2つのバランスにかかっている。

【1】人類の歴史

1 私たちの世界は持続可能か p14
p16
湯川「(略)少々、乱暴にいえば、今すぐ科学を捨て、日本でいう江戸時代ぐらいの科学技術水準に戻すならば、世界人口の9割は死ななくてはなりません。そして、生き残った1割の人間の平均寿命は40歳ほどです」
連崎「なるほど、人生そのものが科学の贈り物だと(略)。しかし、世界人口は、今や70億を超えてしまった。そして、この国の平均寿命は、どんどん延びて、今や超高齢化社会になろうとしている。この大問題を引き起こしたのは誰ですか」

p17
地球の歴史全体を眺めると、現在は、二酸化炭素の濃度も、地球の平均気温も、ほぼ最低レベルです。そもそも、南極や北極に広大な氷が存在していること自体が、地球にとっては珍しいことです。現在は「氷河時代」に分類される時代なのです。
p18
特に、1万年前から現在までの気候は、過去の間氷期と比べても遙かに気候が安定しています。そこで、ここ1万年のことを「奇跡の1万年」と呼ぶことにしましょう。
p19
新生人類(ホモサピエンス)がアフリカで誕生したのは約20万年前です。時代としては氷期でした。そのあと一度、間氷期を経験しています。さらに、次の氷期のさなか、今からおよそ10万年前に、新生人類は、脳を飛躍的に発達させ、言葉を持ちました。人口も大きく増え、アフリカだけではなく、世界中に散らばっていきました。人は、狩猟と採集で暮らしていました。氷期の気候は大きく変動しますから、その変動に伴って獲物や食べられる植物を求めて移動しました。そして、今から1万年前、とても安定した気候の時代が訪れました。温暖で安定した気候は、植物の栽培と定住を可能にします。農業が始まり、集落ができ、遂には都市が誕生しました。ここから人類の文明が始まります。
 つまり、人類文明とは、「奇跡の1万年」の上に築かれたものなのです。

p20
1000年以上の(略)海洋大循環
p20
「古気候学」
p21
現在の(略)二酸化炭素濃度は異常(略)200ppmから280ppmの間を推移してきました。現在の二酸化炭素濃度は380ppmを超えています。少なくとも、ここ80万年の間にはなかったことです。
p24
人類の発展は3回の大きな変化(略)。最初(略)は10万年前頃に起きました。この時、人類は脳を大きくし、言葉を持ち、アフリカを飛び出し、世界中に広がりました。次(略)は、およそ1万年前あたりで始まりました。この時、奇跡の1万年が始まり、人類は、農業を発明し、都市を建設し、産業を興して、文明を生み出しました。最後の、現在まで続く変化が起きたのは、18世紀後半のことです。この時、人類が生み出したのが、近代科学と産業革命です。
p32
 まずは、一人当たりの経済活動を増加させない(略)。問題は、スローライフだけでは解決しない(略)。

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2 人類を支える流れの環 p35
p39
3回目の革命と3つの循環
 18世紀の後半、最後の急加速が始まりました。その原因をつくったのは、近代科学と産業革命でした。(略)
エネルギー源(略)薪(略)石炭や石油などの化石燃料(略)19世紀後半になると、建築材としては、鉄筋コンクリート(略)森林の枯渇という限界を気にする必要がなくなり(略)化学肥料(略)土壌の養分の問題も解決(略)医療技術(略)人口が激増(略)
p40
ほんの200年前までは、どの国でも40歳程度だった平均寿命は80歳近くになり、世界人口は、産業革命前のおよそ10倍に膨れ上がりました。(略)一人当たりのエネルギー消費量がほぼ10倍に増加していますから、人間活動の流れの太さは以前の100倍です。
p41
 この産業循環を(略)支えているのが「化石エネルギー」と「原子力エネルギー」です。ですが、(図を見ればわかるとおり)その両方とも人類史の時間の長さでは循環になっていません。使えば減るし、廃棄物は自然には再生されない、そんな一方的な流れです。弱々しい自然の循環に比べ、逞しいこの流れがなくては、現代文明は成り立ちませんでした。
 さらに、産業循環の上にカネの循環が加わりました。「金融循環」です。(略)現代はあたかも金融循環だけが独立して存在しているように見えるほど大きくなった。産業循環がリアルな実体経済、金融循環は仮想的(バーチャル)。
 指数関数的な成長は、持続可能ではない。必ず限界にぶつかる。(略)工業化によって成長し続けた先進国もその壁にぶつかりました。ここで、成長を手放し、定常的な経済に向かうのもひとつの選択肢だった。ところが、先進諸国は、金融循環の部分だけを独立して成長させることで、さらなる経済成長を持続する道を選んだ。

p44
定常型サイクル
p44
地球の自然環境や資源だけを当てにするならば、このような無茶が持続可能であるはずがない。化石エネルギー資源も原子力エネルギー資源も、いずれ枯渇(略)食料生産も、水資源も人類を支える限界に近づきつつある。しかも、人間活動による二酸化炭素の排出によって、「奇跡の一万年」という私たちの人類文明の基盤自体を破壊しかねない状況。
p45
 こうした困難を乗り越えるための根本的な解決策は、さらにリミッターを外すことではなくて、これまでの指数関数的な発展を終えることではないでしょうか。これが次の革命、四回目の革命のあるべき姿ではないでしょうか。

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【2】物質・エネルギー循環

3 資源と自然 p50
p64
リサイクルとスローライフの罠
p65
農業によって地球上の自然が荒廃していった歴史は、先に見たとおりです。(略)特に日本の場合、国土すべてを食料生産に利用しても、国内の食料の消費量を賄うことができません。故に、食料自給率100%は原理的に不可能なのです。
 近代科学や産業革命が誕生する前の時代にくらべると、世界人口は、既に100倍に増えてしまいました。スローライフで救えるのは、人口の1割だけだと思っておいた方がよいでしょう。残りの9割を救おうと思えば、どうしても科学技術が必要です。もはや、自然による再生の能力だけでは不十分です。科学技術を用いた「人工的な再生」に望みを託すしかないと思うのです(略)。

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4 知恵で乗り越える p67
p67
 人間活動による環境占有面積が地球の大きさを超えたということは、人類が今、文明破綻の危機に直面している(略)。解決の鍵のひとつは「科学技術」(略)、鍵のもう一つは「ライフスタイルや価値観の変革」(略)。
p71
現在の環境占有面積の7割が家庭の消費によるもの(略)。
p72
自然エネルギーと小規模分散
p73
 小規模分散型への移行は、エネルギーに限ったことではありません。それに伴って、物質循環も地産地消の傾向が強まるでしょう。地域的な多様性が尊ばれ、ローカル化がある程度進むことが予測されます。「スマートシティ」と呼ばれるような、効率のよいエネルギー消費を可能にする賢い地域社会は、地方でこそ可能になるでしょう。
 ただし、こうしたローカル化だけで、全国や全世界をカバーできるわけではありません。(略)
p73
 最後に、日本にとって有望な森林資源のバイオマスエネルギー(略)。日本において、森林資源の生物生産力は、産業活動による木材消費のための環境占有面積を上回っています。すなわち、日本は、まったく輸入に頼らなくても、森林環境を破壊することなく、国内の木材需要のすべてを賄うことができるのです。日本は、まさに森林王国なのです。この豊かな森林資源をエネルギー源として有効活用しない手はありません。(略)日本が木材の多くを輸入に頼っているのは、コスト高の問題(略)。解決するためには、それぞれの産業を単独で考えるのではなく、農業と林業とバイオマスエネルギーの三者を総合的に考えて土地利用をし、産業を関連づけていくのが良い(略)。賢くシステム設計すれば、産業としての可能性が大きく広がり、コスト高の問題も解決できるかも(略)。これが機能すれば、森林保全や生態系の多様性を確保することにも寄与できる(略)。

p93
環境占有面積と生物生産力を考慮した人工的な再生システムをうまく構築できれば、気候の変動とともにそのシステムのデザインを変えて、人類はエネルギーや食料を生み出していけるでしょう。

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【3】産業循環、金融循環

5 成長神話の崩壊 p96
p98
最初に強調しておきたいことは、GDP(国内総生産)を成長させ続けることは不可能(略)。GDPの大きさと環境占有面積の大きさの間には、正の相関関係があります。すなわち、GDPが大きくなればなるほど、環境に残す足跡も一般に大きくなる傾向があるのです。(略)既に現在、世界の環境占有面積は、地球の生物生産能力を四四%ほど上回っています。人類は、一人当たりのGDPに対する環境占有面積が、なるべく小さくなるようなライフスタイルを目指さなくてはならないのはもちろん、GDPの成長がない「定常型社会」を目指さなくてはなりません。
 こうした社会を目指すに当たって、大きな障壁になると予想されるのが、経済の世界に蔓延る「成長神話」です。いつの頃からか「経済」にとって「成長」は、それを必ず前提とするような、しっかりと組み込まれた不可欠な概念となりました。ですが、何度も繰り返してきたように、指数関数的な成長は持続可能ではありません。経済成長率がプラスであることや大きいことは、喜ばしいことではなく、長期的には破滅への道だ(略)。

p99
ポンバドゥール侯爵夫人の侍医
フランソワ・ケネー
p100
ヴェルサイユ宮殿
ルイ一五世
自然界の代謝のあり方(すなわち、物質とエネルギーの流れ)から国家の経済を考え、「重農主義」
p102
日本語で「重農主義」と訳されている言葉の本来の意味は「自然の支配」(略)
「産業循環」は、「物質・エネルギー循環」に支配されており、そこから逸脱してはならない(略)

p103
成長期経済学
p104
ここで「経済学」と「成長」の関係を考えるために、「近代科学」と「産業革命」の関係を考えてみる(略)。
 一七世紀から一八世紀にかけて近代科学が成立(略)。産業革命が起きたのは一八世紀の後半(略)。近代科学の知識を取り入れて応用することで、産業革命が起きたように思えます。しかし、事実はそうではない。(略)むしろ、産業革命が基礎科学に影響を与えた。例えば、物理学のエネルギーの概念は、蒸気機関の動作を説明するために導入された。つまり、熱力学を応用して蒸気機関が生まれたわけではなく、蒸気機関を説明するために熱力学が生まれた。(略)近代科学は産業革命の技術を説明しただけ。
 ではなぜ産業革命、起きたか。一八世紀の啓蒙主義時代に進んだ「技術のオープン化」のため。それまで、技術は職人たちの秘密主義のなか。しかし、この時代には、百科事典(ディドロなど)に代表されるように、技術は便覧として誰でも閲覧できるようになった。それで、技術の急速な積み上げが可能に。世界貿易の利益で資源やエネルギー、人材を集約する余裕もでき始め、発展が加速した。
p105
 科学は何もしなかったのではなく、技術を説明した。それで、手探りだった技術開発の何が本質的で、何が余計なことかがわかるようになった。闇雲な努力から、科学的な方法の導入による確実な改良へ変わった。一方、産業革命のおかげで生まれた熱力学や合成科学のほうも目覚ましく進展し、次第に産業に対して強いフィードバック*1 をかけるようになり、産業技術と科学が一体化して「科学技術」誕生。
*1 ある系の出力(結果)を入力(原因)側に戻す操作

p105
人類の三回目の革命(産業革命)以降、現代に至るまでの急速な成長の時代は、経済学の歴史と時期を同じくしているが、(略)人口増加や科学技術の進歩、資源・エネルギーの大量投入などの要因が(急速な経済成長の)決定的。(略)経済学が成長を引き起こしたのではなく、経済学は成長を理論的に説明しようとしただけ。それでも、成長を説明した経済学は他の要因とも一体となって成長期経済をつくった。何が本質的で何が余計なことか、多少わかったから。経験的だった経済政策に科学的・理論的要素が付加され、成長を邪魔せず促進するように。余計なことは成長を阻害する故に、非効率的なことで嫌われる。こうして経済学には、「成長」と「効率」の概念がしっかりと組み込まれた。(略)ただし、現在、それぞれの経済学は、それぞれの壁にぶち当たっている。

p106
重工業型成長
p106
化石資源の投入
p107
産業革命から第二次世界大戦(略)「自由放任主義」(略)世界的な大恐慌もおき、深刻な失業問題も。
 ここでケインズの登場(略)「管理システムによる安定」
「ニューディール政策」
 ケインズ経済の基本は「緩和」と「緊縮」。経済政策=財政政策。
p108
高橋是清(略)緊縮による暗殺
p109
 生活水準はあがったが、産業循環の巨大化は環境破壊(略)「PM2.5」「霧のロンドン」
世界的に見れば、重工業型成長は10%の人口による富の収奪(略)「中央と周辺」

p110
金融型成長
ケインズに対してフリードマン(新自由主義)
市場への規制は極力排除すべき。中央銀行の貨幣供給量が実体経済に決定的な影響を与える。もう一つ、中央銀行は金利設定できる。経済政策=金融政策。
p112
いまや金融商品の総額は、世界総生産よりも一桁大きい。

p113
金融システムと科学者
クオンツの活躍(高度数学で金融市場分析、金融商品開発の専門家)

p115
金融の歪みと限界
仮想的金融空間の異常膨張が、2008年リーマンショックを招いた。以来、有効な投資先は見つからないまま。
p116
金融空間が現実空間に損失。一般市民は、利益から排除、損失は強制。
1%が利益を享受し、99%が負担を強いられる。近代以前と同じ。
p117
ヴァンダーミーア、ペルフェクト『生物多様性〈喪失〉の真実』によれば、自然環境破壊の原因は、貧困や経済格差。貧しければ生き延びるために、持続可能性など後回し。(貧すりゃ貪するido)
人類破滅回避のために、格差解消=分配問題から目を背けない。

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6 新しい社会システム p118
p118
夏休みの宿題
p120
人類は、「物質・エネルギー」「産業」「金融」という3つの循環のバランスを取りながら、持続可能な社会を実現しなくてはいけない。成長は持続可能ではないので放棄し、定常型社会を目指さなくてはならない。これを前提とすると、物質・エネルギーの循環(科学技術による人工的再生含む)から純粋に生産されたものだけで、定常的経済システムを設計するべきだ(ケネーの経済学の復活)。
p121
「中央と周辺」によって生まれる格差は、人類の持続可能性に対して悪影響。よって定常型社会には不可。
生活レベルの極端な低下も長続きはしない。よって定常型社会には不可。
 新しい社会設計に必要なのは「経済学」ではなくて「社会哲学」。大切なのは「考え方(倫理、規範、価値観)」。
※これはもう宗教である。ido

p122
新しい定常型経済学への期待
p122
成長のない定常型社会で資本主義自体が可能なのかどうかは、経済学者の間でも議論が分かれる(略)。そもそも、複利計算に基づく金利がある限り、金融制度は必ず増殖的な方向へと働く。(略)日本を取り巻く「投資先がない」「欲しいもの(内需)がない」という状態は(略)定常で成熟した世の中の入り口にさしかかった証拠。(略)成長から成熟へ、量から質へ、新規建設から維持や改善へ。
p124
経済学を人間の功利だけで考えてはいけない。
p124
どう考えればよいか。
(一)物質・エネルギー循環
徹底して「科学的考察」
自然による再生や、人工的な再生

(二)産業循環(実体経済)
「経済学的考察」だけでなく
(1)「科学的考察」
テクノロジーが重要な役割
(2)「心理学的考察」
社会に人間行動がどう現れるか
①認知心理学「行動経済学」
②脳科学「神経経済学」

(三)金融循環
「合理的な経済学的考察」
これまでの経済学の知恵と金融工学のスキルを、利益や成長のためでなく、成熟した社会システムの建設および維持のために使う

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【4】あるべき社会システム

7 静かな革命 p156

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8 ゼネラリストのすすめ p170

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