ひとりは苦にならない
世界が苦になる
えらそうに
なにもできないくせに
そしてつぶやく
苦笑とともに
困ったもんだ
できることを精一杯
それが繰り返される呪文
かつてただひとりだけ
愛した人がいた
彼女は
言ってくれた
精一杯
尽くしますからね
それが、日毎夜毎
繰り返される呪文
その言葉に恥じぬように
できることを精一杯
懈怠の心と戦う日常
は、困ったもんだ
けれど最後の最後まで
世界と自分との接点で
できることを精一杯
それが
彼女がくれた言葉に対する
たったひとつの償い
その言葉だけで
生きていけるのだから
さぼるなよ
トーヘンボク