今日の本-金融権力-20080719

金融権力/本山美彦

1章以降より 覚書です。まあ、ひと言で言えば「ギャンブル(デリバティブ取引)は規制すべきである」かな。

 

「第1章 サブプライムローン問題が示したもの」より

【1】アメリカの住宅バブルは何故起きたか/P35

様々な危機(*1)に対応するために、FRBは低金利政策と短期金融の超緩和を実施した。これにより、アメリカの住宅バブルは生み出された。

では、当時のFRB議長アラン・グリーンスパン等、多くの金融関係者がわかっていながらなぜ住宅バブルを発生させたか?

結論を言えば、投資家たちは内容を十分に理解できぬままに、複雑に組み合わされた証券を安易に購入するようになっていた。

流れは次の通り。

利率の低下→①年金基金は、収益が悪化したので、危険だが高収益のヘッジファンドに資金を預けた→②ヘッジファンドは、リスクを世界の投資家に分散する金融商品CDO(債務担保証券)を開発した→③格付会社と証券化業者がCDOを保障した→④投資家はよく分からずにCDOを買わされた

 

*1)①1980年代には米国貯蓄投資組合(S&L)の破綻、②97-98年にはアジア通貨危機に端を発したロシア経済危機、③ヘッジファンドのLTCMの破綻、④2002年エンロンが破綻など

 

【所感】

よく分からずに買った…か。関係ない人々を巻き込むから戦争は怖い。よき権力者を選ばないと民は不幸になる。けど…よき権力者って「哲人政治」の頃からの台詞だな。

 

「第2章 金融の変質」より

【1】いわゆるエリートとやらが害をまきちらす/P48

ギャンブルの社会化ってことで、エリートたちが画策し、庶民のギャンブル心をあおって、ちゃっかり儲けるという現在のヘッジファンドの姿は競馬とダブって見える。

ただ、ギャンブル場で営まれるギャンブルは、このゲームに参加する人たちだけが影響を受ける。ところが現代の金融ゲームは、ギャンブルに参加していない市民にも、例えば石油投機による灯油価格の異常な高騰という形で被害を与えている。

今に始まったことではなく、①17世紀初めのオランダ東インド会社、②18世紀イギリスの南海泡沫事件、③1819世紀にかけてのアメリカの鉄道株ブーム。

【所感】

この場合のエリートってのは「自分のことしか考えられない不幸な人間」ってことだな。…しかし本格的に火の粉が飛んできたら、そう他人事みたいに言っていられないか。

何度も繰り返されてるのだから、そろそろ学習するべきかな。「必要以上の金儲けは罪だ」と。まあ、「必要以上」の定義でエリートが抜け道を考えるんだろうな。ブレトンウッズ体制の崩壊…か。

 

【2】ヘッジファンドが従来の金融を破壊した/P51

経世済民を目的とする昔の経済学は金融論を金儲けの術としては見なかった。企業も、人に雇用を与えることを最大目標として組織されていた。金融も、仕入れ・生産・販売という企業活動を円滑に進めることを課題としていた。企業活動の上で資金が枯渇しないように、社会的に金融を再配分する形で、遊休資金を必要な企業に融資するのが金融の目指す機能であった。

金融機関は、庶民から小口預金を集め、企業に融資し、預金金利と貸出金利との差額によって、営業活動を行うという、いわゆる「金融仲介業務」を本分としていた。そうした金融のあり方を研究することが、かつての金融論の目標であった。

しかし1970年代に、大金持ちがさらに自分の金を増やす技術が「ヘッジファンド」によって開発された。彼らは「空売り」という手法などを駆使して大儲けする。

ヘッジファンドは「私募」であり、大金持ちたちの秘密クラブである。情報開示義務がなかったが、日本では遅まきながら、2007930日から金融商品取引法が施行された。建前上はヘッジファンドも規制できる体制となった。

【所感】

生産力の衰えたアメリカが、金を生産物として作り出した産業…というかギャンブルの主催者がヘッジファンドってとこですか。われわれ一般庶民が迷惑するんだよなあ。コツコツ貯めた老後資金をチャラにされたり…。頭がいいだけで倫理とか道徳とかって考え方がない人間(ヘッジファンド)とはつきあいたくない。…けど巻き込まれちゃうんだよねえ。どうすっかな。

「建前上はヘッジファンドも規制できる体制」ってのがよくわからない。「登録または届け出義務を負うようになったので、意思さえあれば監視できる」そうだけど、言い換えれば、金融庁の職員に意思がなければ今までと変わらないってことか。そこらに策がありそう。

 

【3】従来の金融が破壊されたきっかけは何だったか/P62

1971年、ドルの対金交換の停止によって、管理通貨体制は一挙に崩れた。

その結果、原油価格高騰と共に、インフレが世界を覆った。金利はみるみる上昇。アメリカでは国債価格が金利上昇のために暴落した。優良企業であった鉄道会社も破綻した。この時以降、アメリカでは、カネこそがもっとも魅力的な投資商品になってしまった。(この後、従来の金融は破壊されることになるのである)

【所感】

まあ、そういうことなんでしょうかねえ。何か単純すぎる気もするし、アメリカらしいって気もするし…。

 

「第3章 リスクテイキングの理論」より

【1】懐かしのNHK『マネー革命①』/P91

出資者に対して収益から25%を手数料としてとり、25億ドルもの出資を要求するLTCMは、結局は、外国銀行を巻き込むことに成功した。それはアメリカのクリントン政権が、日本の宮澤内閣に金融自由化圧力をかけるようになった19931995年にいたる金融分野交渉の開始時期と完全に重なる。

19961997年にかけて日本銀行は不良債権で苦しむ国内の銀行を救済するために、超低金利と円安を志向していた。

NHK『マネー革命①』は次のように記されている。「日本の銀行は超低金利で調達した円を海外でノンバンク(ヘッジファンド)に貸し付けて、ノンバンクはそれをドルに買えて運用している。その額が日本円にして2兆円近くにもなる」。「これはいったい何ということだろう。バブルのときでたらめな経営をして膨らませた不良資産に苦しむ銀行を救済するために、日銀は公定歩合を空前絶後の低さに長く据え置いてきた。それは本来、私たちがもらってしかるべき利息のはずであった。それを我慢してきたのは、一刻も早く健全な経営に立ち戻ってほしいという思いからにほかならなかった。なのに、その銀行が世界一安い金利で調達した円を海外に持っていって、投機的取引を主たる業務とするノンバンクに貸しているとは」。同書は、日本の銀行による、破産したビクター・ニーダーホッファー(*2)への貸付が判明したとしている。

『マネー革命①』は次のように嘆く。「取引する人々の姿を見ていると、なんだか生産とは無縁のところで、利ザヤ稼ぎだけが独り歩きしているように見えて仕方がない。そのための方法を編み出すために人々は知恵を絞っているように見える」。「生産力の衰えたアメリカが、その建て直しに努力するよりも、他国の民が汗して生み出した富を、金融という手段で自国に還流させようとしているのではないだろうか。そのためにアメリカはノーベル賞級の頭脳を動員して、自らの金融システムを世界標準にしていったのではないだろうか。その典型がデリバディブ市場ではなかったのか…」。当時としてはすごい眼力であった。

 

(*2) ビクター・ニーダーホッファー

 

【所感】

『マネー革命①』懐かしいですね。1998年放送、1999年出版。「生産力の衰えたアメリカが…」は、心に残る言葉です。

 

【2】過剰な先物投機が、米を超値上げした/P102

堂島米会所の歴史を正しく認識していれば、民間の力の拡大を恐れた明治政府が会所を廃止したというばかげた議論など(マートン・ミラー)はとてもできなかっただろう。

堂島米会所が明治政府によって閉鎖されたのはマートン・ミラー(*3)の言うように、市場の力を新政府が恐れたからではなかった。堂島米会所は自壊したのである。この会所は極端な投機に走り、米の価格を暴騰させすぎ、経済社会混乱の元凶となっていた。没落過程にあった旧幕府権力がこの会所を利用して投機に走っていたのである。(略)会所はもはや先物市場も価格付機能も喪失していた。幕末の金融システムを破壊したものこそ、先物取引の堂島会所だったのである。

現在の原油、バイオエネルギー関係の穀物、等々の異常な高騰現象と、当時の米相場の高騰はなんと似ていることか。原油価格の異常な高騰が経済を破壊するという危険性を重視して、原油先物投機を規制することは、バカなことであろうか?必要なことは、庶民の普通の常識的な生活感覚を忘れないことである。

 

(*3) マートン・ミラー

 

【所感】

規制や統制が必要な時があるってことですね。

ノーモア・サブプライムローン。(日本政府なんか再発防止対策やってんの?不安だ…)

それと、ノーベル賞をとったから何でも知っている…はずないジャンってことです。むしろ専門バカってことを考えた方がいい。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中